10話
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目が覚めると全て解決していた。いやホント。文字通り。
正直寝ている間に頸をスパンとやられるかと思ってたんだけど傷などは一切なく、更にはこれからも鬼殺隊士として励めよ的なことをお館様から言われお咎めすらなかった。マジで不思議。
あとね、お師様が炎柱の位から退いて柱の席が空くから私が次期炎柱候補なんだって。嘘だろって思うよね。だって私一番下っ端の癸だぜ?
特に私は半分が鬼なのに。そう反論したら、もう半分は人なのだから鬼の血を逃げ道に我儘言わず継子としての責務を果たせって言われた。え、何これ、私が悪いの?間違ったこと言ってないのに!?
そして長く柱の席を空けていられないから一年で階級を甲に上げて、鬼を50体倒すか十二鬼月を倒してこいと無茶振りまでされた。それまではお師様にまだ炎柱として頑張ってもらうらしい。
いやいやお師様もう戦えないはずなんだけど。左眼だって治せなかったし…え?以前と同様の力は無理だけど十二鬼月以外と短期決戦なら問題ない?嘘でしょ、どんな身体してんだよ。
おかしいな、柱になるまでに早くて2年普通で5年必要だって教わったんだけどな!巻きすぎじゃない?
というかこれさ、ある意味脅しだよね。お師様に無理させたくなかったら早く炎柱になれって言ってるよね。お館様ってば優しそうに見えてとっても鬼畜!脅し方がエグい!
お師様にボソリと愚痴を言えば、なんでも炎柱の継承を絶たないようお師様からお館様にどうしてもと願い出たらしい。待って聞いてない。
お館様に脅されてると思ったらまさか人質役のお師様すらグル!絶対的味方が消えたこの孤独感よ…。
お師様の意識が戻って三日後、帰宅許可が下りたので煉獄の屋敷に帰ると、玄関で千寿郎と遭遇し大号泣された。これには私もお師様もとても困った。何度謝っても許しませんの一言で取り付く島もない。本格的に怒ってらっしゃる…。
玄関先で騒いでいるとジジイが出てきて中に入るよう促された。酒を飲んでないジジイってのも珍しい。本当に禁酒してんだ。
千寿郎は気持ちを落ち着かせると言って自室に引っ込み、残った三人が居間に集まり向かい合って座る。
「ただいま戻りました、父上。この度はご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません」
「…申し訳ありません」
居住まいを正し謝罪したお師様に続き頭を下げる。
特に私、鬼を長い間匿っていたのは煉獄家に多大な迷惑をかけたことだろう。知らなかったは言い訳にはならない。
お館様の言葉をそのまま受け取ればまだお師様の継子でいられるから、これ以上周囲から煉獄家が疎まれる前にこの家から出るつもりでいる。
まあそれは後で落ち着いた時にでも伝えるつもりだ。
「いいか、今回お前達が俺や千寿郎にかけたのは迷惑ではなく心配だ!そこを履き違えるな!」
「父上…」
お師様はジジイの変わりように驚いているみたいだ。一度会った私でもまだ慣れない。
ジジイが私達の前まで歩み寄り膝をついたかと思うと、ガッと二人まとめて力強く抱き込んだ。
「よく、帰ってきた…!」
ジジイの声が少し震えている。なんなんだろ、この親子。さっきの千寿郎の時もうるっときてたってのに、この数日間で私の涙腺をどれだけ決壊させるつもりだよ。お師様が目覚めた時に散々泣いたのにまたじわりと涙が浮かぶ。
しばらくして、落ち着いたようで腕の力が緩まり解放される。お師様も泣いたのか目元が少し赤い。ジジイは顔を隠しながら千寿郎の様子を見てくると居間から出ていった。
「まるで昔の父上に戻ったようだ」
「そうなんですか?」
「うむ」
「私は昔のジジイを知らないですけど、いつも酒ばっか飲んでた頃より今の方か好きです」
「そうか…うむ、そうだな!」
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