7話
夢小説設定
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今日は城下まで視察に赴いている。
初めはお忍びで、という事だったが護衛をゾロゾロ連れ歩いてたら普通にバレる。だからもう少し人数を減らせと言ったのに、あのクソ豚が。
そんな背景の中、その一件は起こった。
「ちょっとあんた!」
……はあん?誰よこの女。
この私に対して頭も垂れず道を妨げた上に、事もあろうかあんた?これ程までの不敬を受けたのは初めてだわ。処す?処しちゃう?
私の意見など知ったことじゃない、というふうに目の前の不快極まりない女は言葉を続ける。
「あんた、転生者なんでしょ!前世でマギを読んで逆ハー狙ってるのが丸わかりなんだから!」
転生者とか前世って……え、何言ってんの?
輪廻に帰ってまた産まれるのだから、人類皆転生者じゃない。馬鹿なの?いや馬鹿ね。
しかも前世でマギをよんだ?輪廻に入った時点で前世なんて覚えてるわけないでしょう。
ああ、それとも輪廻転生を信じない人なのかしら。
ちなみにマギをよんだって、読んだ?それとも呼んだ?
前者であればマギは読み物じゃないことを教えてあげるべきだし、後者であればマギと言う名を呼ぶくらい誰でもしてるだろう。
あとぎゃくはーって何?下々の間で流行ってる言葉?
「第九皇女だか何だか知らないけど、そういう奴ほど前世はブサイクなのよ!」
知ってんじゃない。ということは何、この女私が皇族だって知っててこんな態度なわけ?自殺願望があるのかしら。
それに前世の顔って今関係ある?
遠回しに腕の良い医師を紹介してくれって意味にも取れるわね。命懸けだけれど。
まあ、頭は早急に見てもらった方がいいと思うわよ。
「紅炎や紅明、紅覇に色目使ったらただじゃおかないんだから!」
ただじゃおかないって平民ごときが使ったところで意味の無い言葉でしょうに。
………て、はあ!!?
こ、この女、私への不敬だけでなく兄様、この国の皇子トップ3を呼び捨て!?
もう世間知らずとか頭の病気とかそういう問題じゃないわよこれ。
女の突飛な行動に唖然としていた民衆達も流石にざわめき出した。
本来なら既に首が飛んでてもおかしくない所業なのにそれが当然のように言いながら悦に浸る女が気持ち悪いというか、ある意味恐ろしいわ。
「ってかさあ」
まだ喋るの?更に罪状増やすの?
「こんなガキじゃ相手にされないか!アハハ!」
ん?確かに私はまだ14歳だけれど、ガキと言われる程幼子ではない。
「…あなたいくつ?」
「やっと喋ったと思ったらそれ?まあいいわ、23よ」
「23?結婚は?」
「はあ?してるわけないじゃない!」
「え、なら恋人がいるのかしら…?」
「意味がわかんないんだけど?私に1人だけ相手が出来たら他の人が悲しむでしょ!」
いやいやいや、こっちがはあ?なんだけど!意味わかんねえのこっちなんだけど!
え?23で結婚してないの!?その歳にもなって独り身!?ただの行き遅れじゃない!
この国じゃ将軍とかそれなりの地位にいないと女は20過ぎて相手が居なければ周りに白い目で見られるというのに、よく堂々と23で独身だと公言できるわね。
てか特定の相手がいたら他が悲しむって堂々と言えるのが逆にすごいわ。どんだけ自分に自信があるわけ?だいぶ引く。
…なんか可哀想になってきたわね。23でまだ誰一人として見初めてくれる人がいないなんて。
「姫様、この罪人はいかが致しましょうか」
「はあ!?罪人って誰に言ってんのよ!」
お前だよ。自分の言動振り返ってみろ?
「いいわ、捨ておきなさい。私が裁く価値もないわ。
それより城に帰るわよ。気分が悪いわ」
「なっ、待ちなさいよ!ちょっと!」
喚く女の言葉は完全に無視して城の自室へと戻る。なんだかどっと疲れたわ。
あの女?もちろん指名手配したけど?私が裁かないとは言ったけど、処分しないとは言ってないわ。
何より今日だけは同情で即処刑は見逃してあげたけど、見つけ次第私に対する不敬を償わせなければならないもの。
まあ、指名手配は国内までしかかけてないなら、知れ渡る前に関所を抜けて国外に出れば問題はないはずよ。
言わば国外追放ね。犯した罪を考えればこれ以上ない慈悲だわ。
出来ることなら逃げ切って二度と会わないことを願いましょうか。
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