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39話

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第九皇女

紅胤ってもっと仕事してないとかと思ってた」

「喧嘩売ってんの?」

書類の決裁をしている時にアリババが私の部屋まで迷い込んで来て、この案件が済んだら軽く案内をしてあげるから、とちょっと待たせている最中にそんなことを言ってきた。

「あっ!いや!悪い意味じゃなくて!」

「今のが悪い意味以外にどう取れるってのよ」

「なんというか…裁判官って言ってたけどあんまよくわかってなかったというか…」

「今やってるのは裁判官の仕事じゃないわぁ。皇族としての公務の方よ。政は紅明兄様がほぼ取り仕切ってるけど私も多少は噛んでるの。
あとは国に残ってるババアに手を出されたくないから小さなとこまで手を回してるって感じね」

「バ、ババア?」

「それは気にしなくていいわよぉ」

根幹となる法や身分などの決まりは紅明兄様が主体となって施行された。私がしているのは災害などの補償や市場の流通の規制、整備されていない道の舗装と、あとは…自分の杞憂を晴らす為に奴隷の補助、とか。その他いろいろ。
私以外がやってもいいようなことばかりだけど、玉艶に口を出されたら後々困る可能性があるようなことは私が引き受けている。あのババアが入ってきて自分の都合の良いようにされるのはごめんだもの。
文官ではどうにも出来なくとも、私であれば玉艶の言い分を却下することは容易い。もちろんあちらの方が腹立つことに地位は上だけど、玉艶が口出し出来る隙がないように処理すればイチャモンとして跳ね除けられるから、あちらもそれを分かって私の処理したものに関してはたまにケチをつけてくる程度だ。
まあお陰で仕事は増える一方なんだけどね!あのババアほんと1回死んでくれねえかな。


「私はこれでも皇族の中じゃ紅炎兄様と紅明兄様の次くらいに内政に関わってるのよ。他の兄様や姉様は戦に出るのが公務みたいなものだから免除ってわけでもないけど得手不得手はあるものでしょう?」

約2名ほど何を身に付けたのか分からない留学をした奴らもいたけどね。

「…俺より歳下なのにすげぇって思ってさ」

「皇族に齢なんて関係ないわ。能力を持っているからやる。それが国の為であり民の為よ。
皇族として生まれ落ちた以上、その責務を背負い己が役割を果たし砕身することこそが定めであると、少なくとも私は思ってるわぁ」

「なんか、ホントにシンドリアで会った時と印象が全然違うんだよな」

「あの時は留学だから仕事は免除されてたもの」

それにあの時はまだお父様も健在だったから。正気だったかどうかはさて置き、ね。


「そういうのって煌帝国の皇族は生まれた時から教育受けてたりするのか?」

「普通の皇族ならそうなんでしょうね。
でも私は皇族への教育は6歳から裁判官に就任した12歳の間までしか受けてないわよぉ。当然必要なことはその間に全て修めたけど」

「は!?」

「母親が元皇宮の下女で私を孕んでそれも辞めたから貧困街生まれだもの」

「なっ………」

「何?言いたいことがあるなら言いなさいよ」

まあ一言でもお母様を侮辱しようものなら後から兄様になんと言われようとその首撥ねてやるけど。私の生まれについて良い感情を抱く輩なんてそういないもの。

「俺も、俺も同じだったから…。母さんはスラムで娼婦をやってて、俺もそこで生まれ育った」

ああ、なるほど。王族らしからぬ言動はそこからきてるのね。
バルバットの22代目国王は賢王と聞いていたけど、その辺はお父様と同じく下半身と頭が直結してたのかしら。…いやお父様と一緒にしたらさすがに失礼だったわね。バルバットの婚外子は1人のようでも、うちは…本気で探したらまだ見つかるんじゃないかと怖いくらいだし。



「そう。なら私達、一緒ね」

「一緒…」

「生い立ちは似てるでしょ?」

「俺は紅胤みたいにすごくねぇよ」

「紅炎兄様の前であれだけ堂々としてたのだから十分じゃない?自分が足りないと思うなら今から学べばいいわ。国を思う気持ちは、分からなくないから」

「…そっか」

「ええ。紅明兄様は本当に聡明な方だから兄様からはたくさん学べると思うわぁ」

バルバットのこともあって煌帝国は悪だと思っている先入観なしに接することが出来たら、の話だけれど。
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