38話
夢小説設定
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先日、婚約者候補にキレてから不貞寝をしているうちに紅炎兄様が対応してくれ一応穏便にレーム帝国へと帰ったらしい。張遼から外聞的には穏便ということになってます、と聞いたけど生きてんのか?まああの二人がどうなってようといいけど。
私の顔合わせの為に紅炎兄様はバルバッドから戻って来ていたのだが、あまり期間も経たず兄様は再びバルバッドへ立ち、ついには私もバルバッドへ招集された。
仕事が終わってやっと部屋に戻れたと思った途端、紅明兄様に連れられ瞬く間にバルバッドに着いていた。せめてさ、先に言っとけ。準備とか色々あんだろうが。
「紅胤、明日はシンドリアから使節団が来るので貴方も謁見の場に立ち会うように」
「明日?」
「はい、明日です」
なんでこの兄共は急すぎるんだよ…!!もっと早くから伝令を寄越せ!裁判官の仕事は今は余裕があるけど!それでも報連相は基本だろうが…!
紅明兄様に頼み燕順を連れて来てもらって、翌日完璧に支度してやったわよ。にしても謁見ねぇ…気が進まないわぁ。汚い狸爺ばかりが集まる場なんて何が楽しいのかしら。
しかし紅明兄様に言われたのならば仕方がない。シンドリアから一体誰が来るのか気になりながら、渋々重鎮達に混ざり謁見の間に並んでいると、マグノシュタットにて共闘した金の髪の彼がその場にいた。
アリババ…?そういえば彼はシンドリアの食客だったわね。
アリババに向かって額ずけという狸爺の嫌がらせに、額ずく行為は妊婦への安産祈願などと口にする。煌帝国に平定された時点でバルバッドの慣習等はある程度把握してたつもりだけど、そんなの聞いたことは無い。まさか紅炎兄様に対して悪びれもなくしれっと嘘を言うとは。
「ふ、ふふっ」
「紅胤姫様?」
「に、妊婦…っ、ふふふっ、ははっ」
笑いを我慢出来ず、つい肩を震わせる。紅炎兄様もアリババの態度を見て面白そうに声を上げた。
「やめやめ。皆の者、もう下がれ。
紅胤。お前もいつまで笑っている」
「だ、って…妊婦、妊婦って…!………ふはっ」
お腹痛い。止めようと努力しているのだが難しい。これは暫く話すのは無理ね。落ち着くまでちょっと部屋に戻るとしますか。
部屋に戻り笑いが収まってから、乱れた髪などを改めて結い上げて兄様の元に行く。
人伝いに兄様の居場所を聞いて辿り着いた部屋にちょうど紅炎兄様が入っていったところだった。近くにいた楽金に聞いてみると先程まで紅明兄様とアリババが話していたらしい。
とりあえず私も紅炎兄様のあとを追い入室する。するとアリババが紅明兄様に向かって政の異を唱えているとろこだった。
邪魔にならないよう部屋の端っこでその言葉を聞く。なんて夢見がちで、綺麗事ばかり言うのか。きっと彼は大国を背負うということがどれほどの重圧なのか知らないのだろう。そんなぬるま湯のような幸せが実現出来るなら、こんな世界になってないってのに。
«甘い王ですね»
そうね。甘くて甘すぎて、胸焼けがしそうだわ。
«でも貴方は好きでしょう?»
あ?んなわけねーだろ。見てるだけで腹立つわよ。高潔な王なんて。私と、真逆過ぎて。
«おや、僕は君も高潔な人間だと思うよ»
ほざけ。私は自身の内面の醜さなんて嫌という程知っているわ。
«卑屈ねぇ»
じゃあ聞こう。高潔な王は神を殺すか?
«───は、ははははははは!そうだな、そうだよなあ!そうだとも!お前は俺の共犯者だ!俺と共に神々に叛逆する者だ!だから俺はお前を選んだ。だからお前を生かした。だからお前を愛し続ける»
勝手に言ってなさい。私の
«揺るがないのね。そんなとこも愛してるわ。
ほら、愛しき兄様達の話に混ざってきなさいな。今の話してる内容、もしかしたら高潔な彼が貴方の夫になるかもしれないわよ»
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