35話
夢小説設定
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「はい?紅炎兄様、今なんて?」
「だから、───お前の婚約者が決定した」
「?、???…は、はあ!!?」
一国の姫としていつか来るとは思ってた。だけどこのタイミングで!?
体調が良くなったと公言してからもミシャンドラのことを聞いてこないしラッキー、とか呑気に考えていたのに、いきなり婚約だぁ?どういう心境の変化よ!
「明日が顔合わせだ」
あした?……明日ァ!?馬鹿なの?いや馬鹿よね。前日に言う奴があるかよ…!!!
「に、兄様?少し、いや大分、やっぱりとんでもなく急だと思うのですが…」
「昨日相手側から話があり決まったばかりだからな」
き、の、う!?もっと迷えよ!なんで即断即決!?私だよ?この私の婚約者よ!?え、なに。もしかして私、厄介払いされそうになってる…?
「相応の準備をしておくように」
そう言って兄様は部屋を出て行った。
「ふ、はははっ…………ふっっざけんなぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
音を立てて閉まった扉に向かって、猫被りすら忘れて、心の限り叫んだ。
─────
「姫様、お相手がもう近くまでいらっしゃってるようです」
「そう。ねえ張遼、どうやったら荒波立てずに逃げれると思う?」
「……自国か自分、どちらを切り捨てるか選べば可能かと。あ、でも姫様がご褒美をくださるなら私が喜んで破談にしてきますわぁ!身代わりとして4、5人極刑になりますけどよろしいでしょうか?」
「良いわけないでしょ。特にアンタにご褒美ってのが一番最悪よ。お願いだから誰にも認知されないままくたばって」
「私が、一番…!?やっだ、姫様ったらぁ!私もぉ姫様のこと一番愛してますっ。キャー言っちゃった!」
「うぜえ」
早く相手来ないかしら。なんか張遼と話すよりは何倍もマシに思えてきた。
「姫様、お召し物はいかがいたしましょうか?」
「…以前買った薄桃色のにするわ。張遼出ていきなさい」
「はぁい…」
傍に控えていた燕順が話題を逸らし、その流れで張遼を追い出せた。よくやったわ燕順、婚約者(仮)の為の準備ってのが不快だけど。
「装飾はお前が選んで」
「はい」
…?なんか燕順の態度が固い。いつもなら何というか、もっとヘタレてるというか?今の方が仕事が出来そうな雰囲気はあるけれど、普段と違って違和感あるわね。
「燕順、お前何か怒ってるの?」
「怒っていません」
「いや機嫌悪いじゃない」
「悪くありません」
…苛ついてきた。この私が聞いてあげてるってのに頑なに否定とはどういうことよ、あん?
「言え」
「ですから何もございません」
「私が、言えって言ってんのよ。口ごたえばっかしてんじゃねえぞ」
「しかし…」
「言、え!いい加減鬱陶しいのよ!」
「…姫様は本当にご結婚なさるのですか」
「はあ?するわよ。今回は婚約までだけど紅炎兄様がしろって言うなら断れないでしょぉ。なによ、認めないとでも言うつもり?」
「ええ、認めません。勿論、私のような者の意志など意味も必要もないのは重々承知しております」
「ふーん。ならお前はどんな人物なら認めるの?」
「姫様が愛された方です」
は?この男、今なんて言った?私が?愛した?
「……ふっ、ふふふふ、あはははははははは!燕順お前、この私に恋愛結婚なんかが出来ると思ってんの?正気?」
「正気です。そして難しいかと。確かに婚約も結婚も愛が無くとも成立します。ですが我々が仕えるのは姫様ただお一人。貴方が愛していない方などに尽くすつもりは一切ございません」
「我々?」
「燕青はストレスで吐血した上に暴れ出しそうで手に負えなかったので部屋に閉じ込めました」
「あらぁ…。お前達って普段は扱いやすいクセして、たまに面倒よねぇ」
「そう躾けたのは姫様ですがね」
言うじゃない。それなりの年数を共に過ごしてきたけど、燕順が私に対してここまで反抗的なのは初めてかしら。
「燕順。お前の間違いを一つ正してあげるわぁ。
私が結婚したとして、お前達が相手に尽くす必要性ってあるの?だってお前達が忠誠を誓うのは私ただ一人。例え私が愛している人間だとしても、私の物が他に媚びを売る必要ないじゃない。お前達は、お前は、私の所有物なんだから」
「────。姫様はどこまでも傲慢で、我儘で、暴君という名が相応しいです」
「あ"あ"!?」
「しかし、そんな貴方だから我々は望んでどこまでも心酔する。我らが主、我らが王。私は…"俺"は…どこまでも酷く、どこまでも優しい貴方だったから忠誠も命もすべて捧げたんです」
「………燕順」
「はい」
「…だぁれが傲慢で我儘で暴君ですってぇ!?」
「えっ!?あ、いや!それはちょっと口が滑ってしまいまして!」
「口が滑ったってことはいつも思ってるってことだろうが!喧嘩売ってんのか!」
「すみません!すみません!すみませんんん!」
怒る私から逃げようと涙目でパタパタ音を立てながら逃げ回っている。やっぱりこっちの方がらしいわね。思い詰めてる姿も、怒りのやり場に戸惑う様子も似合ってないにも程があるでしょ。
というか謝りながら逃げるより先に前言を撤回しなさいよ!!
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