31話
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視界が晴れる。倒れた家族の姿が見える。
目を閉じても開けても地獄なら、後者を選んで抗え。
「ミシャンドラ。力を寄越しなさい」
«ああ、もちろん»
頭に響く不快な声。それよりも不快なモノが目の前にいるからか、珍しく声の方はさほど気にならないわね。
中途半端に剥げたベリトの魔装をミシャンドラが喰らい、身体が白い布に包まれる。鮮やかな紅の色が抜け落ち髪すら白く染まる。
まさかミシャンドラの魔装をするはめになるなんて最悪だわ。
この姿じゃお父様の紅も、お母様の金もありやしない。血を彷彿とさせる赤の瞳に、あとは全てが白。
嫌い、嫌い、嫌いよ。こんな姿。
だから私にこんな姿をさせた不敬者には相応の罰が必要、よねぇ?
私の動きに反応した依り代の白い手がこちらに伸びる。それを地から沸いた黒い手が相殺する。
似てる。ミシャンドラを内包している私とお前は似ているわ。だから余計に忌々しい。
私と同様のモノなんてこの世に2つと必要ないのよ。
でも似ているというのはお互いに決め手がないということ。どうやって殺すかを戦いながら考えないと。
依り代が空の孔を仰げば再び触手が降りてくる。
«また、またワタクシから奪おうというのですか。私が愛する世界を»
ミシャンドラがいつも通り訳のわからない言葉を喚く。
うるさいのよ、アンタ。ちょっとくらい黙っていられないの?
「ああもう、不遜な塵芥が。たかが神の一柱如きがこの私に逆らってんじゃないわよぉ。
私に楯突く不敬者は神でも人でも関係なく斬首刑って相場が決まってるのよ!アンタは落とす頭がないから這い蹲ってその身全てを献上でもしてなさい!」
依り代の脚のルフを吸い取り膝を折らせる。なんて不味いルフだこと。私は黒でも白でも構わないけど、人の生命力に満ちたルフの方が好みなのよ。
私を最も危険視したのか依り代の攻撃がこちらに集まりだした。
相殺する。相殺する。相殺する。相殺する。相殺する。相殺する。
それと同時に上空の触手も打ち払う。イル・イラーを引き摺り降ろして喰い殺すのも一つの手だけど、兄様や姉様達がいるこの場所では出来ないわ。
決定打が足りない。
何かないか。何か、何か。
チッ、時間がかかりすぎたわね。余計な男とそのオマケ共が来てしまったわ。
でも少しばかり登場が遅いんじゃないかしら。
ねえ?───シンドバッド王。
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