30話
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「うっわ、何このキショい生き物」
見つけたのは、ただの偶然。
「…なんか死にそうだし、燕青にバレなければ大丈夫でしょ」
連れ帰ったのは、ただの気まぐれだった。
山羊の頭に7つの赤眼。羽毛の生えた体に蛙のような足が14本。大きさは仔犬くらい。
ノリで持って帰ったけど、改めて見てもキモイわね。というかこれ何て動物なの?
ツンツンとつついてみるが反応がない。もしかしてもう死んだ?
脈を確かめる為に首元の毛をかき分け触れてみる。うーん、よくわからん。
«――愛してる»
声が聞こえた。
高いような低いような。透き通ったようなしゃがれたような。安心するような嫌悪を抱くような。
慌てて周囲を見渡すが誰もいない。
«愛してる»
声が聞こえる。
«愛してる»
声が止まない。
«愛してる。愛してる。愛してる»
並び連なる愛の言葉。不思議な声はただただ愛を囁く。
«愛してる»
誰を?
«愛してる»
何を?
返事は返らない。
この部屋には私とこの動物しかしないのにこの声は一体どこから…
「あ、もしかして…お前だったり?」
≪――――≫
言葉が止まった。動物が喋るとかちょっと頭のおかしいこと言ったなと自分で思ったがマジか…。
≪はじめまして。王の器≫
「!?」
≪下位世界に生まれ落ちた小さな少女。神を知らぬ無知な子供≫
え、なに。急に饒舌になったんだけど。こわ。つかキモ。
«"神"が定めた"運命"からは逃れられない。お前は生きてあと数ヶ月»
なんかいきなり余命宣告された。えぇ…ちょーサイコじゃん…。拾ったのすっごい後悔してる。
その上どっから声出てんの?口があるんだから、口を動かして喋れよ。
というか小さいだの、無知だの、余命数ヶ月だの、喋り出したかと思ったら私へのディスりでちょっとムカつくわ。
「あのさ、さっきから何なの?喧嘩売ってんの?死にそうに見えたけどトドメ刺して欲しいわけ?」
«哀れ。憐れ。あわれ。だから、愛してる»
ふりだしに戻ってんじゃねーか。
腹立つわぁ。なんで私こんなんの下に見られないといけないのよ。
ムキになるのは馬鹿馬鹿しい。でも反論くらいは言っておきたい。
「いい?クソキモいヘンテコ動物。私はお前にあわれまれることなんて何一つない。
自分の"運命"とやらは自分で決める。"神"がなんだっての?そいつが私の死を決めたのなら――その"神"をぶち殺してでも生きてやるわよ」
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