24話
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ここ最近、姫様はとても多忙だった。
紅徳皇帝陛下が逝去され、次期皇帝に指名された練玉艶と対立してからというもの、満足に休むことすらされていない。
アル・サーメンの動きを常に注視するだけでなく、自らの臣下だと発表した者達に眷属器を与える為に行動を共にしながら玉艶側と直接的な戦闘を起こさせないよう統率し、果てには嫌がらせの如く回された大勢の罪人に処罰を下す。
そんな日常で身が持つはずもなく、ついに体調を崩され倒れてしまった。
俺は今姫様の寝所の護衛をしている。本来であれば部屋の外で待機すべきだが、アル・サーメンの魔術師共が転移魔法を使う可能性も考慮しベットのすぐ傍に控えている。
姫様は睡眠をとり体力を回復させなければならないというのに、布団の中から時折苦しそうにしながら指示を出す。臣下として姫様を止めなければならないのに、この御方の言葉がなければ我等は動けない。
実質我々の陣営は姫様がいなければ一瞬で瓦解してしまうくらい脆いものだ。だが彼女がいるなら何だって出来る。だからこそ姫様の御身を大事にしてもらわねばならないというのに。我等のなんと役立たずなことか。
「えんせい……燕青!」
「っ!、申し訳ございません!なんでしょうか」
「余計な事を考えるな。これは私の失態よ」
「しかし、」
「明日には治すわ。お前はそれまで私を守りなさい。反論は聞かない。
私の下僕なら、ただ頷け」
「…御意」
ああ、この御方は強い。今も――昔も。
―――――
俺は武官としてこの煌帝国に仕えていたものの戦争では出来損ないの頭のせいで作戦を理解出来ず単独行動をとってしまうことが多く、出世とは程遠い男だった。
自分の頭が悪いのは自覚していた。休みの日には勉学に励み努力もしたが結果は変わらず。
周囲からは阿呆のレッテルを貼られ、嘲笑の的となる。その認識は間違っていないからと受け入れてしまう始末だった。
ある日の訓練。俺は訓練時は力加減が出来ず木刀を壊すからといつも同僚の攻撃を受けるだけの役目だった。正直つまらないという気持ちはあったが、俺が備品を壊すのは事実だ。この訓練が終わった後、皆が休憩に入った時に素振りを始める。それが日課だった。
しかしこの日だけは違った。皇帝陛下からのお達しで最近皇宮へと入った煌帝国第九皇女、紅胤姫の従者を我等の中から選ばれるとのことだ。
末の姫とはいえ、皇族直属の従者。そこで更に上の地位の方の目に留まることも有りうる。
誰もがいつも以上に熱意を込め訓練に励んでいた。しかし俺には関係のないこと。ただ攻撃を受けているだけの男がどう武を示せようか。
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