「燕青！燕順！」

この私に声を張らせるなんてどういうつもりよ。私が来いって思ったらそれを感じ取って動きなさいよね。

何よりあの豚野郎との謁見があるなんて聞いてないわよ！誰よそんなクソみたいな予定入れた奴は！我らが皇帝様よね！知ってるぅ！だって私に予定を伝えに来た侍女はあの豚付きのだもの。
あーあ、あの女も暫くしたら手を出されるんじゃないかしら。いい歳していつまでもハッスルしてんじゃないわよ。
家畜みたいな見た目しながら偉そうにしやがって、さっさと失脚してしまえばいいのに。

何より私を見つめる舐めるような視線が嫌い。いくら私の母が美女で既に他界していて、その遺伝子を受け継いでる私もチョーゼツ美少女だったとしても、あんたは私の父親だからね？
そこんとこ弁えた上で玉艶のクソババアだけとイチャコラしてろよ。


「ひ、ひめっ、さ、ま…！お待た、せ、しましたっ！！」

「遅いのよこのポンコツ！私が呼んでから何秒経ったと思ってるわけ！？」

「申し訳ありません！」

「というか燕順はどうしたのよ」

「あいつは姫様のお茶の用意の為に少々外しております」

「あっそ。ならさっさとあの能無しを呼び戻しなさい」

「え？」

「だから早く呼んでこいって言ってるの！！」

「た、只今！」


ホント空気の読めない従者共ね。
武官の燕青では謁見の為の準備はできない。むしろ燕青に手伝わせるくらいなら不格好になってでも自分でやった方がマシよ。
燕順は闘いに関しては燕青の毛程も才能がないが、侍女の真似事には秀でている。
ちなみに頭脳に至ってはどちらの従者もお粗末だ。

ああ、バタバタと音を立てて部屋に近付いて来るのが聞こえる。私に聞こえる範囲で雑音を立てるなんていい度胸じゃない。不敬もいいとこだわ。