冷たい指先
名前変換
本棚全体の夢小説設定いらっしゃいませ。
こちらは夢小説となっております。
お好きな名前でお楽しみください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれからというもの自然と目で彼を追うようになり。
横を通り過ぎる時なんかは、私の心臓の音が彼に聞こえないか心配しちゃったり。
いつも柳君を気にするようになっていた。
それからというもの勉強もいっそうがんばった。
少しでも彼が私を見てくれるように。
いつも一番にいる彼の隣に並べるように。
■
そして、私の努力は実り中学三年生の冬。
最後の期末で彼の隣に名前を刻めた。
そして、私は2位がとれたら彼に告白をすると以前から決めていたんだ。
(落ち着け、大丈夫よ名前。
それだけの努力はしてきたわ。
悔いは無いでしょ?)
少しずつ足音が大きくなるのが分かる。
そのたびに少しずつ私の鼓動も大きくなるのが分かる。
「遅くなってすまない」
「ううん、全然」
いや、本当に時間ぴったり。
「1位おめでとう、柳君」
「2位おめでとう、苗字」
「・・・嫌味にしか聞こえないわね」
「フッ、そう捻くれてとらえるな」
本当に嫌味などないような顔で笑う柳君。
やっぱり近くで見るととても綺麗な顔をしている。
「どうした?俺の顔になにかついているか?」
「ううん、違うの。
柳君ってやっぱりかっこいいなと惚れ直しただけよ」
「・・・ほう、それは告白か?」
「・・・ずっと柳君が好きだったの。
やっとあなたの隣に並べたから、やっと言えたわ。
柳君のことが好きなの」
私の声は震えてなかったかしら。
目が泳いだり、笑顔がこわばったりしてなかったかな。
沈黙ってこんなに長いものだったんだ。
怖くて顔が見れない。
「苗字。顔を上げてくれないか?」
彼の冷たい指が私の頬を撫でた。
「俺もお前がずっと好きだった。
お前よりも長い1年と3ヶ月もの間な。
・・・泣くな」
困ったように笑う彼が。
彼の指が私の涙を掬う。
私はその冷たい指先が嬉しくて、子供のように泣いた。
後にもこの先にもあんなに嬉しくて泣いたのは初めて。
冷たい指先
(ほんとうにずっと待っていた)