冷たい指先
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残暑が厳しい夏の終わりの夕暮れ。
校内にいるのに蝉の声がうるさい。
図書室に残って勉強をしていた私は帰りが遅くなってしまったため、早く家に帰ろうと足早に校内を抜けようとしていた。
(立秋だというのに未だにこんなに暑いのかしら)
喉はもうカラカラだ。
■
外に出てみれば、まだまだ暑いが、空は秋のそれ。
不釣合いな蝉の声は一層騒がしく、私を不快な思いにさせた。
早く帰って、冷たいアイスを食べてまた勉強をしようと思い、近道の外の水道近くを抜けようとした時。
(あれは・・・、学年1位の柳君?)
運動した後で暑いから水浴びでもしてるのか。
勝手に納得をして立ち去ろうとした時、
顔を上げた柳君の目から涙が零れている事に気づいてしまった。
嗚呼、そういえばテニス部は王座を奪われたのだと生徒が騒いでいた。
その直後に柳君を見かけたけど、普段と何も変わらない顔をしていたから。
彼は強い人なのだと思っていた。
彼は我慢するのが上手なだけな不器用な中学生なんだ。
そんな柳君をみて、私は不意にも恋に落ちてしまった。
その後はよく覚えてない。
気づいたら汗だくで息を切らして部屋で呆然と立ち尽くしていた。
心臓がはちきれそう。
嗚呼、これが恋か。
やっかいな物にかかってしまった。