空「…で今夜どーすんの？団体客が入ったから個室余ってるって朋茗が言ってたぜ」
三「…そうだな、俺達はいつ何時妖怪の不意打ちを食らうかわからん。なるべく寝食共にするのが得策だな。ーと言いたいところだが、宿屋に来てまで野郎とバカ娘の寝顔は見たくない。解散！！」
『誰がバカ娘よ』
三「自覚ねぇのか、重症だな」

三蔵と私がやりあってると悟空が私の肩に手をポンッとおいた。

空「桜花、話があるんだ…ちょっと俺の部屋に来てくんない？」

悟空の顔は、いつになく真剣だった。

『ん、わかった。一旦部屋に戻って部屋着に着替えてから、そっち行くね』
浄「襲うなよ？子猿ちゃん」
空「襲わねーよっ！エロ河童と一緒にすんな！！」





コンコン。
『悟空、来たよー？』
「あ、ちと待ってー」

中からドタドタした音が聞こえドアを開けてくれた。
悟空と目が合って、顔を見て見たら顔がほのかに赤い。
今の桜花の服装は昼に八戒と一緒に買い出しに行った時に買ったキャミソールだった。

空(エロ河童が余計な事ゆーから…)

『悟空？』

悟空の顔が赤くなり下を向いたまま黙ってしまったので私は悟空に声をかけた。

空「わり。中に入って」

悟空がベッドの上に座ったから私もベッドの上に腰をかけた。
また、真剣な表情に戻って行く。

空「なぁ、桜花。桜花はさ、もう俺らに慣れた？」
『うん。毎日騒がしくて、楽しいよ』
空「…でも、桜花のホントの笑顔って見た事ねぇし、接し方とかぎこちない気がしてさ。なんかあるなら言って欲しいなって」

悟空の綺麗な真っ直ぐとした、キラキラとした金眼は私を捕らえて逃さなかった。
その時確信したんだ、この瞳には嘘がつけない。
この太陽みたいな瞳には。

するといきなり目頭が熱くなって、涙が頬を伝った。
その時思ったんだ。
この人なら…っと。

『私はずっと親から虐待受けてて、学校ではイジメられて… でもそれが当たり前だって、そうゆうものなんだって受け入れて来たんだ。そうすれば心が楽になるから…友達に裏切られても、またかで済ませられるようになった。初めて妖怪を殺したとき、本当は怖かったんだよ？でもそれを言ったら、いけないって思った。受け入れないとって』

悟空は、そっと私を優しく抱き寄せ、頭を撫でてくれた。
その温もりが暖かくて、初めて人の優しさに触れた気がした。

もうダメだ。感情が抑えきれない。

『受け入れる事でずっと逃げてたんだ…本当は両親に愛されたかった。愛して欲しかった。今までこんな生活してたから、皆が私に優しくしてくれた時凄くとまどったんだ。でも優しくされれば、される程裏切られた時なかなか受け入れるのが難しくなってくる…だから、どうしていいかわかんないの。そんな事しないって思いたくても心の隅で、また裏切られるよ？って。ずっとずっと私は怖かったんだ…見捨てられたら、どうしよう？裏切られたらどうしようってっ…！』
空「桜花はずっと一人ぼっちだったんだな。俺達は絶対に桜花を裏切ったり見捨てたりしねーよ。桜花は俺達の仲間だろ？桜花に何かあった時は俺が必ず助けるから。もう大丈夫だから…桜花が傷つく事は絶対にしないし、一人ぼっちにもしねぇから…だから、もっと頼れよな！」
『うん…！うんっ 悟空、ありがとう…！』

この夜、君の優しさに落ちていった。

きっと私の居場所は此処だったんだ…

泣き疲れて寝るまで私は悟空の胸の中で泣き明かした。
悟空は泣き疲れて寝てしまった私をそっとベットの上に寝かせてくれた。

ー俺、寝れねぇじゃん…