君が好き
電話を受けてやってきたマネヒョンは念の為ヒョンジナを病院に連れて行き、残された俺は仕事の支度をしてマネヒョンの代理のマネージャーに迎えに来て貰って事務所に出勤した。
そこでメンバー達にはヒョンジナの体調不良でスケジュールに参加が出来ない事を伝えた。
カムバック期間が終了して、収録関係がたまたま入ってなかったから大きな痛手にはならなかった。
「ヒョンジナが珍しい事もあるもんだな、大丈夫かな」
リノがバラエティの台本をチェックしていた。
生きてるのだから不調な事もあるだろうけど、それにしてもヒョンジナが珍しいと心配していた。
昨日の夜はまだ元気そうだったんだけどな。
カムバック期間、すごく忙しかったから疲れが出た感じかな。
みんなで心配していたら、マネヒョンが事務所に来てヒョンジナは自宅に寝かせてきたとの事だった。
「風邪?」
「よくわからないけど、解熱剤飲ませてるから落ち着くんじゃないかな」
1人で留守番させるのは心配な部分もあったけれど、ヒョンジナも成人男性だし大丈夫だろうと今日のスケジュールを済ませてから帰宅する事にした。
朝起きてリビングに行ったらヒョンが腹筋をしていたから眺める事にした。
なんだか今朝は怠い感じがする。
昨夜はヒョンと夜食を食べて、ここ数日前の態度を改めて謝罪して無事全てが完了したはずだった。
ソゲッティン、つまりは異性との出会いも視野に入れて予定も組んだ事だし食事でもして恋人を作ろうかな、なんて考えていた。
アイドルだって健全な人間だったら恋人くらい作ってもおかしくないと思う。
しかも紹介して貰うのは以前多少話した事がある子で性格も良さそうだし、秘密も守れそうだから興味がわいた。
ちょっとその気になっていたところでヒョンが俺の何が良かったのか話してくれて、ちょっと考えが変わった。
変わったというより決断が揺らいだという方が正しいかな。
真剣に俺の内面の事を話してくれるヒョンに吃驚した。
そんなに俺の事を知ってくれてたの?
正直、見た目や仲間として気を許す仲だからって程度かと思っていた。
だから部屋にこもって本気で悩んだ。
ソゲッティンはひとまず置いといて… ヒョンの告白を断るのは間違いだったんだろうか。
そこまで知った上での告白だったら、かなり本気だよな。
いや、でも男同士だし、そもそも選択の余地は無い?
色々考えすぎて何故か社長だったらなんてアドバイスくれるかな、とか考え出して訳がわからなくなってきた。
なんて事を朝までずっと同じ事をグルグル考えていたら、なんだか頭がフワフワグラグラするようか気がして… 気が付いたらマネヒョンと病院に向かうところだった。
スケジュールに穴が空いてしまう…
まわらない頭でマネヒョンにうったえると「今日は大丈夫だから休んでください」と止められた。
診察が終わって自宅に戻り、ベッドに入ってマネヒョンから解熱剤を貰い飲んでから横になる。
ベッド横にペットボトルやゼリー、果物を置いて貰った。
食欲は無いから飲み物さえあれば大丈夫。
マネヒョンは仕事に戻るから俺はゆっくり眠る事にした。
気が付くとへやの中は真っ暗で夜になったのだと気づいた。
朝からノンストップで寝続けていた?
おかげか頭が軽くてスッキリした気がする。
「………」
まずは明日みんなに迷惑かけてゴメンってあやまろ!
社会人として仕事に穴をあけるのは良くないしな。
スッキリしたおかげかサクサク考え事が進む。
なんか絶好調だ、俺!
そんな時に玄関のキーの音がしてドアの開閉の音がした。
リビングの電気がついたらしく、ドアの下の隙間から光が漏れた。
ヒョンかな、マネヒョンかな?
どっちだろうと考えていたらドアが開いた。
「……ヒョンジナ?」
「ヒョン、おかえり」
「大丈夫?熱は?」
「もう大丈夫」
「食える?レトルトのお粥、マネヒョンが置いてってくれてるんだけど」
「食べる、腹減った」
俺はベッドから起き出して立ち上がったら少しフラついたけれどリビングまで行くことにした。
暗闇から明るいところに出たからとても眩しかったけれど、すぐに慣れた。
ヒョンがレトルトお粥をレンジで温めてくれているところだった。
「持っていくから寝てなー」
レンジのスタートボタンを押したヒョンは上着を脱いでソファーの背にかけた。
「他なんか食べる?飲み物は?」
俺の世話を甲斐甲斐しく引き受けてくれているヒョン。
「ペットボトルあるから大丈夫」
俺はキッチンまわりで用事をしているヒョンに近づく。
「どした?寝ないなら座っとけー」
「あのさ!」
病人は大人しくしとけ、とソファーに追いやられそうになって強めに言った。
吃驚した表情のヒョンの正面にまわった。
「俺と付き合って!」
ヒョンは口をぽかんと開けてしばし俺を眺めて俺の額にそっと手を添えた。
熱は下がったし!
