願いを叶えてみて
1人で暮らすにはお金が必要らしい。
ヒョンから貰った財布の中身を見る。
この小銭では到底払えないような大きなお金。
最近よく話す一人暮らしの練習生の話によるとアルバイトをしながらのレッスンで中々にしんどいらしい。
でも俺もいつまでもヒョンに甘えているわけにはいかず、そろそろ家をでる準備をしなきゃいけない。
ヒョンの上司に言われて気づいた。
俺がいたらヒョンはずっと俺の面倒をみて、恋人なんか作らない。
少なくとも俺の事は恋の対象にならないと言われたのだから、はっきり言って出ていったほうがヒョンにとって良いと思う。
レッスンが終わったその足でアルバイトを探しに繁華街に行って求人を探した。
店先に貼られている求人の方が即決で働ける確率が高いらしいと聞いたからその通りにしたら見つかった。
焼肉店の網を洗う仕事。
お金の相場がわからないけれど、とにかくお金が必要だからすぐに働く事にした。
初日は仕事に慣れてなくて時間がかかってしまいバスの最終便を逃してしまった。
ヒョンには事務所に泊まると誤魔化してバスの停留所で朝まで過ごした。
忙しい日もやっぱり最終便を逃しがちになり、ある日ヒョンにレッスンが大変なのかを聞かれて誤魔化した。
家を出るためのお金を稼ぐ中で、お金を稼ぐのは大変な事だし身元が訳が分からない俺の為に生活を支えてくれたヒョンにあらためて感謝した。
最近ジニが帰って来ないことが多くなった。
練習がしたいから事務所に泊まると連絡はあるものの一応未成年だし、事務所がそれを許可するのかという疑問もあった。
念の為調べたところ練習生に教育をしっかりしているし、学生には勉強もさせるし、そんな事務所が泊りがけの練習をさせるかなって疑問がわいた。
ある日ジニから連絡があった日、即事務所に確認をとったところジニはとっくに帰宅した後だった。
ならアイツはいったいどこで何をしているんだ。
「もしもし、チャニヒョン」
『おー、どうした』
「車、出して貰う事は可能ですか?こんな時間に失礼は承知なんですが…」
『え?いいけど…そっち行くから』
「夜分にすみません」
チャニヒョンに車を出してほしい旨の連絡を入れた。
こんな時間にバスも地下鉄も走っていない。
タクシーも中々捕まらないだろう時間帯に非常識だとは知りつつも先輩に車をお願いしてしまった。
ジニ、お前はどこで何をしているの?
ただなんとなく感じている事はジニに恋の対象になれないと説明した日から、些細なズレが見えてきて今じゃ俺に嘘をついてまで帰らなくなってきた事は確かだ。
ジニ、もしかして居づらくなったのか?
変わらず戯れてきたり、テレビを見ながら踊っていたりで上機嫌に過ごしているけれど。
本当のところどうなんだろう。
スマホが鳴って出る。
『下ついたよ』
「行きます」
チャニヒョンがアパートの前に車をつけてくれたから、さっそく玄関を出た。
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