願いを叶えてみて
ふと何気なく夜中に目を覚ました。
そして何気なくジニの布団を見たらジニの姿が無かったからトイレかと思い、二度寝を決め込もうとした。
…が待てどもトイレから出てくる気配がない。
気になってトイレのドアをノックし、反応が無いのを確かめてからドアを開けるとそこにジニの姿は無かった。
部屋の明かりをつけてもジニの姿を確認出来ず、もしやと玄関を見たら靴が無かったから適当に靴を履いて飛び出した。
「ジニ…!」
誰一人いない廊下に出てから手すりから身を乗り出して辺りを見回しても人の気配は無かった。
あんな話をした後だから家出した?
俺の言い方がキツかった?
もっと他の良い言い回しをすれば良かった?
いや、話す時期を間違えた?
そもそもわざわざ話す必要はなくて、有耶無耶にすべきだった?
一気にいろんな後悔が湧いてきて、もしもジニに何かあったらどうしようと気が気でない。
エレベーターが動いていないのを確認してから階段を走り降りる。
各階の廊下も確認しながらエントランスまで降りる。
外に出たか?
しらみつぶしに近場から探そうとしたら寝間着にしているジャージにパーカーを深々と被り…いや、てるてる坊主のようにクビ紐をきゅっと締めたジニを発見して安心と共に少し怒りが湧いた。
心配しただろ、この野郎!!
思わずジニの首根っこを掴んでエレベーターに乗り部屋を目指した。
「ヒョン…痛い…」
「だまらっしゃい」
ジニを部屋に戻して安心した。
部屋に入ってすぐにジニに怒鳴ってしまった。
安心したら心配が怒りに変わった。
たしかに原因は俺かもしれない。
だとしても夜中に何かあったらどうするんだ!
「お前は…!川に行ってなにしてたの」
「1人でぼーっとしたくて…」
俺の勢いに押されてしろもどろになるジニ。
「危ないだろ!不良に絡まれたらどうするんだ!事故にあったらどうするんだ!」
「ごめん、次からしないからさ…」
申し訳なさそうに謝る姿をみて冷静になるよう深呼吸をする。
熱くなるな、そんなに責めるな、無事に帰ってきた。
落ち着け、俺。
「寝るぞ」
「うん」
俺はベッドに潜って、ジニも布団に潜る。
今はいったんお開きだ。
寝て、明日の朝、無事に迎えられたらもうそれでいいじゃないか。
起きたらいつも通りの朝だった。
俺は出勤の準備をして、ジニはレッスンに行く支度をする。
「なぁ、昨日の事だけど」
「うん」
「怒ってごめん。ジニにも考え事があったんだと思う。でも心配が先にきて…感情的になった」
「ううん、俺が悪かったね。心配かけてごめん」
家を出る前に互いに謝った。
喧嘩じゃないけど、良くない気持ちを抱えて1日過ごすよりは朝のうちに解決しときたいなって。
ジニをバスの停留所まで見届けてから地下鉄へと向かった。
