君が好き



「あっ、やっぱりキンパ全部食べていいから。俺、もう歯磨いて寝るわ」

ヒョンジンがスッとその場から立ち上がると洗面所に向かった。
それをマジマジと凝視するしかない俺。

保留?
保留って、この話は継続するってこと?

口の中に溜まっている米を飲み込む。
いったん落ち着こう。

ヒョンジナの言葉の意味は?

洗面所から出てきたヒョンジナが「おやすみー」と言って自室に入って行ってリビングは静かになった。



俺はテーブルの上のゴミを片しながらヒョンジナの部屋に突撃してその言葉の真意を聞き出したい衝動に駆られたがなんとかその衝動を理性で止めた。
あえてその理由を言わないで行ってしまったのは、考えを整理したい、まだちょっと迷っている、むしろ俺を試してる?
どれですか?

俺ははからずとも朝まで悶々とし続け、気が付いたら窓から光が差し込み小鳥の鳴き声が聞こえてきた。

今から寝られるとは思えないし、寝る時間もないから思い切ってリビングで腕立て伏せをした。

最初から考え事をしてベッドでゴロゴロするより、体力を使った方が寝れたんじゃないか?

フゥフゥ呼吸をしながら今更ながら夢中で腕立て伏せした。



「ヒョン、おはよ」

気が付けば俺の前で寝起きのヒョンジナがちょんと座ってにっこりしていた。
前髪をゴムで束ねているもののそれ以外の髪が好き放題に跳ねている。
そしてやっぱり浮腫んでいる。

「おはよ、よく眠れたよう…だな?」

「んー、まぁね」

俺は腕立て伏せをやめて冷蔵庫から水のペットボトルを取り出し飲んだ。
昨日の保留といい、今朝の満面の笑みといい何を考えているんだろう。

「俺のこと好き?」

「へ?」

「まだ俺のこと好き?」

いや、まぁ好きだけど忘れようと昨日決断したばかりかな。

「まぁ…」

「俺の何が良かったの?見た目?大体みんな見た目から入ってくるんだけど」

「見た目も好きだけど、性格が気に入って。努力家で負けず嫌いで、怖がりだったり結構気をつかってたり、見た目通り強気なんだけど逆に繊細なところもあってギャップにやられたっていうか…」

変わらずにっこり目を糸にしながら聞いているヒョンジナに説明していく。
けして軽はずみに告白したのではないし、中身も知った上で好きになっている事。
付き合うに至らなくても知って貰えると嬉しい。

「じゃあ俺が付き合ってもいいって言ったら付き合うの?」

「まぁ…ヒョンジナがいいなら付き合っ…ておい!」


笑顔のヒョンジナが横にそのままフローリングに倒れ込んだ。

「大丈夫か!?」

慌ててヒョンジナに駆け寄り上体を起こす。

熱っつ!

腕に抱いたヒョンジナの体は明らかに熱を持っていて表情はすでに笑ってはおらず辛そうな表情で額に汗を浮かべていた。
俺はヒョンジナを肩に担いでヒョンジナの部屋に運びベッドに寝かした。
冷凍庫から氷嚢を出してヒョンジナの両脇に挟む。
とりあえず今やることはマネヒョンへの連絡。
すぐに電話をしてヒョンジナの事を話すと今から来て病院に連れて行ってくれるらしい。

ずっと笑ってたの体調不良だったのか!

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