願いを叶えてみて
スンミン達はばらばらに散らばって団地の部屋を見て回った。
ジョンインだけは全ての授業が終わってからヨンボクに合流した。
人の活動時間はだいたい昼間でずっと部屋にいるわけでもないだろうから、ヨンボクは少しの手がかりの為に間取りも確認しながらの作業となった。
「フェレットも外出している可能性がありますから、覚えのある間取りや家具も思い出してくださいね」
「うーん…日が昇る前だったから薄暗くてそんなに見えてなかったんだよね」
「ははっ、記憶ひねり出せー」
地道なローラー作戦で各部屋を見てまわる。
「そういえば…あの日流れ星を部屋から見てたはず!流れ星への願い事を俺が叶えてあげたんだから」
「あの日の流れ星…どの方角か覚えてます?」
ジョンインが唇に指をあてて考え始めた。
「方角はちょっと…部屋の窓に対して反対側。窓から外を見た時に流れ星が見える感じ。あっ、そういえば月!日が昇る前だったから、部屋から出る時に月が沈みかかっていたのを見た、方角はあっち!部屋から出る時南山タワーも小さく視界に入ってた」
「窓から南山タワーが見えるという事は窓の向きが特定されますね」
ジョンインがニカッと笑った。
ジョンインがスマホを取りだしてスンミン、リノ、ハンに情報を共有する。
スマホをポケットにしまうとヨンボクの方に向き直る。
「さて、イタチの捜索はみんなに任せて貴方は卒業に向けて最後の悪あがきをしましょうか」
「え…?」
「まだ数時間残ってます。手頃なところで手をうちましょう」
「でも…」
「今回の事は社会人の責任です。僕達、何年働いていると思ってるんですか?学生が何をやらかすか予測を立てられなかった僕達の責任です。申し訳無く思うなら無事卒業して父上を安心させましょう」
スンミニヒョンの胃腸の為にも!
とガッツポーズを決めたジョンインに「ありがとうー」と抱きついたヨンボクだった。
「…という訳で2人離脱か」
『捜索のヒントは貰ったし、卒業の為に頑張ってもらって…なんだっけ、99年留年だっけ?大学ってそんな難しい所なの?』
リノとハンがスマホで話しながら引き続き捜索をしていた。
捜索範囲はジョンインからの情報でだいぶ絞れたが、留守中の自宅が多く中々苦戦している。
「さぁ…」
順番に部屋を見て回っているリノが「ん?」と部屋の中を凝視した。
棚の中に無造作に置かれたフェレットの写真がプリントされた餌袋。
もしかして、ここか?
窓側から景色を見ると南山タワーが見え、月も方角的に見える。
部屋の中に住人は居らず留守だがここの可能性が高い。
「見つけたかも、部屋」
『えっ、嘘!見つかった?どこ?』
「確定じゃないけど、条件が合う部屋は」
『えー!合流しよ!どこ行けばいい?』
ハンはすっかり見つかった気になっていて持ち場から離れる準備に入った。
ずっと部屋を見て回っていたから解放されたい気持ちが強かったのだと思う。
