君が好き



「今の部屋割りに不便感じてる人いたら俺まで。秘密にするから安心して!」

バンチャンが仕事終わりにバン車の中でメンバー達に通達した。
リーダーとしてプライベートのケアも万全。

「クレーム出た段階で相方からの告発でしょ」

「イエナ、そこ突いてくるなよ」

「詰めが甘すぎ」

二カニカ笑うイエナ。


「ハンさんが散らかして超ダルイんですけど」

「ヒョン、さん付けやめて」

「それは大変そうだが、俺もイエナの服の多さに改めて驚愕してる」

「俺は管理できてるでしょ」

秘密裏にではなく本人の前で告発が始まるのは実のところ問題ではないのかもしれない。


「ヒョンジナのとこは?」 にっこり笑顔の天使のヨンボクがヒョンジンの顔を覗き込んだ。

「え?…とくになにもないかな」

「そ?」

本当に?

目がそう言っていてヒョンジンが少し困惑する。


「なんかあったら話聞くから、今日は解散だ解散!」

リノが手をパンパン叩いて帰宅を促す。

ちょうどチャンビンとヒョンジンの宿舎前に着いたところだった。

「おつかれー」

2人で車を降りてドアが閉まった後、残された6人は一瞬シン…としたが……


「なんも無いってどういう事だ!?」
「わざわざはからったのに、何やってんの!」 「いや、待て、隠してる可能性もある」
「チャンビニはすでに告白したはずだ。引越の前に」

「…しっかり断られた、とか?」

「わざわざビニヒョンと付き合わなくても引く手数多だもんな、ヒョンジニヒョン…」

実は本人達以外にはチャンビンから相談されたバンチャンからの情報漏洩によってバレていたりする。
告白した後の事は知らないらしいが。

「いや、情報漏洩だなんて。相談の相談をしたら、相談の相談の相談されて最終的にイエナまで情報が降りていったっていうか…」

慌てて弁解するバンチャンが目に浮かぶ。

チャンビンの色恋事情に浮き足だったメンバー達だったが、よくよく考えてみたらあの美形を女子が放置するはずも無い。

仲間うちでは思春期が終わらない男でしかないが。
3年間の恋愛禁止期間が終了した今、いつでも女子に手を出せる状態でもある。

「宿舎に着きましたよー、おつかれー」

マネヒョンから促されてバン車を降りていく面々。


「マネヒョンはどう思う?」

バンチャンが降り際にマネージャーに聞いた。

「事務所としては他社の子に手を出すよりは情報統制とれるから社内恋愛の方が助かる。ヒョンジナは前に自粛期間があったからチャンビナが手綱を握ってくれると安心ちゃ安心。でもヒョンジナにそれを強要するなよ」

「そうだよなぁ…おつかれさま!」

バン車のドアを閉めると「それもそうだ」と思う。
男同士、メンバー同士を非難も反対もしないが無理に引っ付けるのも違うとも思う。
結局は当人同士の問題だから。



「へっくしょい!」

宿舎にひとあし先に帰宅したチャンビンとヒョンジン。

先にシャンプーをしながらなかなか減らないシャンプーにご満悦でもあり、逆に減らないシャンプーで2人部屋を実感し少し寂しくなるヒョンジン。

前まで嫌ほど煩い部屋だったのにチャンビンだけだと驚くほど静かだ。
ヒョンジン自身は静かだから実質騒がしいのはチャンビンだけ。
1人で騒がしいのは怖いものがある。

シャワーを終わらせて家着に着替えて髪を拭きながらチャンビンの部屋をノックしてからドアを開けた。

「ヒョーン、シャワーあいたよ」

「りょうかーい」

パソコンの前で作曲をしていたチャンビンが画面を見ながら返事をした。

それを見届けてヒョンジンはドアを閉めると冷蔵庫の中を覗く。

何か食べられるもの… 事務所の社食は食べたものの時間が経っていて小腹がすいた。
女子アイドルは多分腹が減っても食べないストイックな生活を送っているのだろうけどヒョンジンには無理だった。

自室に確保してあるラーメンでもいいけれど、何かそれ以外の選択はないものか一応確認だ。

キムチ、ノリ…以上!
なんもねぇ!
出前とる?出前かぁ、何食べよ。
チキン、キンパ、ジャージャー麺… いや、麺は気分じゃないな。


「トッポギ、おでん」

「あぁ、それいい!ってヒョン、なんで?」

「冷蔵庫の前で悩んでるから」

「小腹減ったんだけど何が食べたいのか迷っててさ」

「食いに行く?近くに24時間営業あったろ」

「シャワー入っちゃったから出前にしようかと」

「じゃ、テイクアウトしてくるわ。ついでがあるし」

「そう?ならよろしく」

ヒョンジンが玄関を出るチャンビンに手を振って、チャンビンが出たのを確認するとリビングのソファーにどかりと座りスマホチェック。

お腹すいたなーなんて思いながらダラダラやっていたらチャンビンが帰ってきた。


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