願いを叶えてみて
最近、人間らしくなってきたジニに俺も慣れてきた。
最初の辿々しさから今では日常生活にこなれてきた。
文字も壁に幼児用のポスターを貼り付けて練習したから簡単なものは読めるようになった。
だから…
「俺ってイケメン?スカウト2つもされちゃったわけだし」
読めるようになった文字やテレビで学んだ日常会話やスラング、俺の説明であの名刺の意味を知り調子にのっとる。
もう過去の栄光じゃ!
鏡に自分が映るたびにじっとその姿を見てはほれぼれしている。
「フェレットの時は自分の見た目に興味無かったけど、今は自分を見るのが楽しいな」
「うわ…ナルシス」
自分にどんだけ自信があるんだ。
確かにその辺の奴に比べたら整った顔と体型をしているとは思う。
だがそれを素直に口に出したり、自分にうっとりするとか残念な奴だろ。
「ヒョンは俺の事イケメンと思う?」
「思う。思うけどそんな自信満々に言い回るものでは無いぞ」
「え、なんで?良い事なのに」
名刺を貰えた事に気を良くしているらしく、道を歩けば何か貰える都合の良い顔だと誤認識している。
だから今のところ嫌な事が無いらしい。
「お化けに願い事して良かった」
「お化けに願い事?」
また出たお化けネタ。
この部屋にも出たらしいが知らぬが仏とはよく言ったものだ。
しかし願いを聞いてくれる都合の良いお化けなんているものか。
「うん、美味しいものが食べたいって」
あれ食べた、これ食べたと指折り数えた。
特に果物の瑞々しさはペレットだけを食べていたフェレット時代からすると革命的な美味しさだったらしい。
「へぇ、叶ったじゃん」
「ついでにヒョンの願いも叶えてくれたよ」
俺、願い事なんかしたっけ?
全く無い心当たりを探す。
「俺の願い?」
「一緒に住む家族が欲しいって」
あぁ、流れ星のやつか。
確かに願い事はしたけどお化けにではない。
もしかしてジニが見たお化けは流れ星の妖精?
なんか光ってたらしいから、それっぽいかも!
という事はジニはお化けだけではなく妖精も見えるって事か。凄い!
「たしかにそんな願いはしたなぁ」
精度の程は微妙だけど。
得体のしれない元フェレットの男とか… ジニは自分を指さして「一緒に住む家族!イケメン!」にこっと笑った。
いや、そういう事じゃないんだわ。
でも最近その辺曖昧でどうでも良くなってきて、ジニが自宅にいるのが当たり前の風景になりつつあるけど。
