願いを叶えてみて
「おぅー、ふっかふか」
フローリングに敷いた布団に大の字になり、ゴロゴロと転がるジニ。
人生初の家出以外のお出かけが楽しかったらしくご機嫌だ。
俺も無事何事もなく帰宅できたのを嬉しく思う。
「明後日から俺仕事がまた始まるんだけど、ジニは日中なにしてんの?」
「寝てる。今まで昼間は寝て過ごしてたんだけど人になってからはそう眠くない…けど暇だから寝てる」
「そっか」
無職だし、趣味も無いし…寝るしかないか。
家の事をしてもらおうにも圧倒的にスキルが無い。
明日は洗濯の練習をするとして…
「あ、そうだ」
カフェでジニが貰った名刺を財布から取り出す。
スカウトって本当にあるんだな…とマジマジと見る。
芸能事務所には詳しくないが、もしも練習生として受かってしまったらどうなるんだろう。
レッスン料とか諸経費、タダってわけじゃないよな。
いやいや、練習生以前に人間の練習しなきゃならないからそれどころじゃないんだよな。
ジニの日中の過ごし方を決めていかないとな。
掃除洗濯、それ以外にも趣味的な…
いやいやちょっと待て。
なんで俺がそこまで考えなきゃいけないんだ。
何故かガッツリ、ジニを受け入れようとしている自分にびっくりする。
俺、懐深すぎるやろ。
「ヒョン、さっきから何を悩んでんの?」
「…食べる以外でできる事や得意な事は?」
「んー…」
「得意っていうか…お化けよく見るかな」
「あぁ…カフェのやつ」
そういうのはいいんだって。
むしろ見えない方がいい。
怖いじゃん。
「俺が人間になった時もお化けが来てさー」
「え、この家にもお化け来たん?」
「今日見たのは黒かったけど、ここで見たのは眩しかったなぁ…」
おかしな事ばかりだ。
フェレットの人間化、そいつが家でも外でもお化け見る。
この部屋、何かの呪いにでもかかってるのか?
もしくは俺が呪われ…?
そう思わざるを得ない。
俺はベッドで、ジニは新しい布団で眠った翌日さっそく洗濯の仕方を教えた。
「ヒョン、スタート押すとか言われても文字読めないんですけど」
「あー……」
こいつは盲点。
文字読めないのかー。
俺は仕方なく洗濯機にシールを貼った。
「電源はヒヨコのシール。設定はウサギのシール。スタートはブタのシール。順番に押したらできるから」
「おー……動いた」
洗濯物を入れてボタンを押したら乾燥まで全部やってくれるからあとは畳むだけ。
畳む練習をしたら意外と綺麗に畳めて感動した。
アイロンは火傷や火事が怖いからシャツとハンカチだけは俺が担当することにした。
