君が好き
朝起きたら浮腫んだ顔をしたヒョンジンがリビングで苺を食べていた。
「おはよ」
「おはよ」
「夜、ラーメン食ったんか?」
「うん」
「夜中の塩分は朝浮腫むぞ」
「腹減ったんだよねー」
まぁ、塩分取ろうが取るまいが寝起きは浮腫んでる確率が高いのがヒョンジン。
神は美形という容姿と共に浮腫やすい体質をプレゼントしたらしい。
それすらステイの間では愛らしいらしい。
美形はなんでも得だな!
「今日のスケジュールは把握できてる?」
俺は朝の白湯を準備しながらヒョンジンに確認した。
「みんなに着いていく。以上」
「………」
いや、個人的なレッスンとか各々無いんか?
活動は確かに大抵一緒だけどさ。
「レッスンとか」
「あった気もするけど、マネージャーに聞けば答えてくれるよ。いちいち確認しなくても勝手に1日が終わっていく」
「そういう問題じゃない」
「朝家を出たらマネージャーと会う。現場に自動的に連れて行って貰って、自動的にメイクして貰って、自動的にスタジオ移動して、自動的に家に着く。最近全自動なんだよね」
要するに家を出た瞬間から帰宅まで誰かしらが面倒をみてくれるから特にスケジュール確認しないんだと。
まったく、こいつは…
だからこそ、俺と相部屋にされた気もする。
「社会人としてせめて今日1日ぶんのスケジュール確認くらいしなさいよ」
「んー、気をつける」
絶対気をつける気ないだろ。
スマホを弄りながらぽりぽり頭をかいているヒョンジナ。
「10:00にヘアセット入って11:00にスタジオ入り。その後収録が2件入って、お前は他グループとコラボの打ち合わせでCスタジオで合流・レッスン。その後リノ達と合流してラジオ出演で終わり。わかった?」
「すごっ、俺のスケジュールまで管理できてんの」
「貰ったやろ、スケジュール表」
「自分のぶんしか見ないし」
「まぁ…そうだな」
確かに。
全てを把握する必要ないし、ヒョンジナのスケジュール確認までしてしまうなんて。
無自覚にヒョンジナの1日を把握済みだった。
我ながら怖い。
ストーキング気質か、俺。
それから無事、ヘアセットとメイクをして貰っているうちにヒョンジナの浮腫は解消し、いつもの美しい顔が復活した。
で現在イエナをこねくり回しているヒョンジナ。
イエナのポジションに行きてぇな。
なんて微笑ましく2人を見ていたら、イエナがこっちを見て「ヒョン、俺なんかしました?」とヒョンジナを振り切ってやってきた。
「別に?」
「本当?凄い目で見てきたからなんかやらかしたかと思った」
ちょっと見てただけなんだけどな。
イエナに誤解を解いて、ふとヒョンジナを目で探すとポテチを2枚咥えて「アヒル。」とリノに絡んで鬱陶しがられていた。
見た目は立派な青年に成長したけれど、中身は永遠の中学生だった。
そんな彼もステージに上がれば別人。
王子様、爆誕。
俺も人並み以上に踊れるはずだけど、ヒョンジナと同じ動きをしても別物になる。
ダンスに関してはほんと神がかっている。
芸術作品って感じ。
それにね、代謝が良いせいか発汗が凄くてそれがキラキラしててより王子様なんだよね。
ステイには一生無理だと思うけど、俺、その汗を浴びる事多いんだよね。
仕事柄仕方が無いとはいえ、役得だと思うんだよね。
「俺もよく浴びてるよ。多分メンバー全員…」
若干引き気味のヨンボガがぼそりぼそりと俺にしか聞こえないくらいの声量で囁いた。
心の声、漏れてた?
「大丈夫、漏れてない漏れてない」
またもやヨンボガがコソッと囁いた。
「え、なに?霊感?」
「見えます、あなたはズバリファン・ヒョンジンの事が気になって仕方がないでしょう」
ヨンボガが両手を俺にかざして神妙な面持ちで言った後に「なんちゃって」とニカッと笑った。
