願いを叶えてみて



あくる朝、俺は何かが壊れるような音で目が覚めた。

「なっ、なんだ?!」

布団を剥がして今までに無かったくらい上半身を瞬発的に起き上がらせて、あたりを見渡した。

ガス爆発?
何かが落ちた?
そもそも家の中?
外の音じゃなくて?

多分これ、1秒くらいで思いついた疑問。
そしてすぐに違和感に気づいた。

「うわあっ!」

「わぁっ!」

吃驚して…尻で後退りした。
ジニのケージがあるべき場所に… 見知らぬ男が吃驚した表情でこっちを見ていたからだ。

「お、お前…どうやってうちに」

いつまでもビビっているわけにはいかない。
とにかく武器になりそうなものを探しながら枕元に置いてあったスマホをたぐり寄せる。

不法侵入で警察に通報か…

「か、鞄に入って…」

オドオドしながら応えた男は落ち着いて見ると17、8歳くらい?
少し幼さが残っているから見立てはおそらく合ってると思う。
真っ白な上下の服装にかすかに茶髪気味、唇はプックリしていて、綺麗な顔立ちはしていたがこいつは不法侵入者。

よくよく彼の回りを見るとジニがいたはずのケージが粉々になっていた。

ジニはどうなった!?

「ジニ!?…はっ、ジニ踏んでないか、お前!」

「はいっ!はいっ、俺、ジニ!」

慌てて必死の表情で右手をぐうにして腕を上げて挙手した男。

「は…いや、そうじゃなくて、うちのペット…」
「だから…俺がジニレットだよ」

自らの胸に手を添えてアピールしながら膝立ちで寄ってくる。

いや、こっち来んな!

俺は慌ててベッドから抜け出し、後退りしながら玄関を目指す。

とりあえず一緒にいちゃいけない。
まずはいったん退却してから考えよう。
急すぎて頭が働かない。

「ご主人!えっと、もう!どうしたらわかってくれるかな!」

立ち上がって退却の姿勢を見せた俺に何かを訴えようと困った顔をして目線をウロウロと彷徨わせる。

「とりあえず聞いて!俺、ジニレット!左目の下に黒い斑点!体の中で唯一の斑点だけど、これが原因でしばらく売れませんでした!純白じゃないから価値が下がっちゃって…あっでも、そんな事知らないか」

必死に考えてまた思いついたように、ハッとした表情をした。

「筒の中にはまってたら、ご主人じゃない誰かに引っこ抜かれた!」

「え?なんで知ってる…」

チャンビンが狼狽えて部屋をキョロキョロ見回す。

「…盗撮までしてるとか?ストーカー?俺の筋肉が目的か!?」

チャンビンが身震いした。
こんなに若いのに変態なのか、こいつ。 わからないもんだな、人は見た目じゃないっていうか。

「昨日は流れ星の話もしてたし、その前は魚のおもちゃで遊んだし…えっと…その時ぶつけた時のがここで…」

ジニレットが数日前におもちゃを追いかけてテーブルの脚に激突した事は確かにある。 頭を強打してた。

「まだここ腫れてるんだよね」

頭を擦りながら言って一気に俺に詰め寄ってきた。

「うわぁ!」

「さわって!俺を証明するものはこれしかない!」

俺に頭を差し出してきた彼の頭を恐る恐る触る。

確かに…こぶできてる。
さすがにこれは偽装できないよな?

どう?と伺うように見上げた彼の左目の下には黒子があって…
特徴やたんこぶ、日常の話は全部一致してるんだよな…。

「あぁ、あとご主人、数日毎に発情してるよね!メスがいないのになん…もごっ!」

慌てて彼の口を咄嗟に手でふさいだ。 それはもう…男の性ですやん!


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