君が好き



「ただいまー…」

「おかえり」

玄関をあけると両腕を組んだリノがいて、ハンとハンに担がれたヒョンジンを一瞥した。

「お持ち帰りとは…なかなかやるな」

「いやややや、お持ち帰りだなんて!帰りたくないって騒ぐからさぁ」

ニコッと笑ったリノに焦ったハンだが、ヒョンジンを抱えたまま何もできるはずもなかった。

「ヒョンがいるにも関わらず連れ込むのは大胆だね。3Pでもする?ヒョンがまとめて抱いてやってもいいけど。体力には自信があるし」

「遠慮しとく!ってか早くヒョンジナ降ろさせて、重くて死にそう」

リノが玄関からどくとハンがリビングに上がりやっとの事でヒョンジンをフローリングに降ろした。

「はあーっ、疲れた」

「ほい」

フローリングに座り込んだハンにペットボトルを差し出したリノはヒョンジンにも同じように蓋を開けた状態で渡した。

「もー大変だったんだから。幻の道が見えたらしくてさ、止めるの大変で」

「どうせならそのまま走らせてやりゃ良かったのに」

「走らせたら全身打撲でしょ、壁しかないのに」

ハンがペットボトルの水を飲んでその場で仰向けになり休憩する。

「ヒョンジナー、水飲んで。飲んで酔いが醒めたらさっさと帰んなー」

リノがヒョンジンの前にしゃがんで水をすすめた。
むすっとしたヒョンジンは「いや!」としか言わず脚をバタバタとさせた。
脚のリーチが長い分攻撃範囲がなかなか広そうだからリノは少し距離を取った。

「悪酔いしとるなー」

「捨てずに連れ帰ってきた俺を褒めて」

これはしばらく正気には戻らない長期戦になると悟った2人はヒョンジンを自宅に戻すのを諦めた。

「ヒョンが見とくからシャワー行ってきな」

「ありがとー」

ハンが立ち上がると即座に反応したヒョンジンがハンの脚にしがみついた。

「ハンちゃーん、どこ行くの?置いていかないでよー」

「シャワー行くだけだから!離して!」

「寂しいから行かないで!」

しくしく泣き出したヒョンジンに脚を束縛されたげっそり顔のハンがリノに言った。

「実はさぁ、チャンビニヒョンとまだ解決してないらしくて駄々捏ねてる、みたいな?」

「まだ?」

「ヒョンジナは解決したって言ってたんだけど、話聞いてたら諦めただけみたいなんだよね」

「諦めた?別れんの?」

「そうじゃなくて、このまま肉体関係抜きの関係で、優先順位も低くてもいいんだって」

「は?優先順位ってなんの事?」

「チャンビニヒョンに旅行をドタキャンされたとか。色々あるけど1度は好きになったんだし、愛想が尽きて冷静に別れられるまで現状維持するんだって」

「本人がそれでいいならいいけど、それって付き合う意味ある?」

「俺もそう思った。で、酔って本音のところはこの有様よ」

ハンの足元で「寂しい」とシクシクやってるヒョンジンを指さした。

「はいはいはいはい、ヒョンジナー、ハニを離してねー」

リノに剥がされたヒョンジンは不服そうにしていたが、その間に解放されたハンは浴室に消えて行った。

「ヒョンが話し相手になってあげるからね」 ヒョンジンに向かい合って座ったリノがヒョンジンの太股をトントンと優しく叩いた。

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