君が好き
ようやく明日はオフ!
10日前に急に湧いたオフにわくわくしていた。
明日はヒョンジナと釜山か。
なんとなく感じているカップル危機を釜山旅行で解消できたら嬉しいんだけど。
俺は明日の旅行が楽しみすぎて、うっきうきで仕事に打ち込んだ。
2人で旅行サイトからピックアップした飲食店に行く予定にしている。
なんでもタコが有名らしく予約不可で並ばないといけないから早朝出発かな…と思っている。
あとは海を眺めたり、観光したり…とにかく今の状況を挽回したい。
明日の夜は釜山から帰ってきてヒョンジナさえ良ければ黙って抱く。
ヒョンジナと微妙な感じにしたままは良くないし、明日で元の状態に戻す。
スマホに普段表示されない友人の名前がディスプレイされて何事かと出てみると…
『ひさしぶり、どしたー?……明日、帰国?明日はちょっと予定があって…えぇ!これを逃したら8年後?』
アメリカで働いている友人が明日仕事で帰国するらしく、2,3日韓国に滞在後すぐにアメリカに戻るらしい。
しかもその数ヶ月後にインドに赴任が決まっていて7,8年戻る予定が無いらしく、会えないかという話だった。
これは会わないと後悔するやつ?
いや、でも明日はヒョンジナと釜山旅行だし…
いったん夜にもう一度連絡する事にして電話を切った。
まさか重要案件が同日に重なるとは… どっちも大事なんだよな…。
俺はどちらを優先すべきなのか。
恋人を優先するのは当然だし、かといってもうしばらく会えない友人を断るのも薄情な気もするし。
色々自分の中で葛藤した結果、ヒョンジナに経緯を話す事にした。
本当は男らしく黙ってヒョンジナを優先すべきだったろうけど、やっぱりしばらく会えなくなる友人がわざわざ誘ってくれたのも無碍にできなくて。
「あっ、そうなんだ。友達と会えば?」
リビングで夕食中に話すと一瞬ラーメンをすするヒョンジナの動きがピタリと止まったが、すぐにあっけらかんに言った。
「でも明日の釜山がさ…」
「明日を逃したらしばらく会えないんだろ?釜山はなにかを予約してるわけじゃないしさ。俺、いつもここにいるし、いつでも会えるんだから行ってきなよ」
特に変わった様子も無くカップの中のラーメンをかき集めながら淡々と言った様子を伺った。
怒ってる?
悲しんでる?
とくに何も思ってない?
ヒョンジナの気持ちが外面からは見えてこない。
言葉は送りだしてくれているけど、本心から言ってる?
本当に友達に会いに行っても大丈夫?
「本当にいいわけ?」
「いいよー、楽しんで」
ニコッと微笑んだヒョンジナになんとなくの罪悪感はあったものの行く事にした。
「本当にごめん、明日は早めに帰るようにするし、夕飯はヒョンジナが行きたいところ、どっか食べにいこ」
なんとかヒョンジナの事を軽くみている訳じゃなくて、大事に思っている事は伝えたくてせめて夕飯だけでも一緒に行きたかった。
「ヒョンジナ、ありがとな」
「んー」
いいよ、と笑ってくれたのを良いことに俺は明日友人と会う約束の電話を入れた。
