君が好き




退勤後自宅に帰ってすぐに朝に届いた荷物を確認した。
勿論ヒョンに見られる訳にはいかないから今夜は「やりたい事があるから今日は別で寝て」と伝えて枕を渡した。
同じ部屋で寝る習慣がついたみたいで、ヒョンは暫く「嫌だ」とか「なんで?話したい事がある」とかなかなか出ていこうとはしなかった。

普段料理をろくにしない俺がエプロンをなんの目的で購入した事を知られたくなかったし、でも早めに商品が無事に届いたか検品したいし。
梱包の袋をピリピリと開けて中身を確認する。

よし、スマホの画面と同じもの。
リノヒョンが裸エプロンを推奨してきたから、一応…本当に一応の為に購入した。

そしてエプロンって色んな形があるのを知った。
腰で巻くタイプ、定番タイプ、割烹着タイプ(これは日本のサイトで見つけた)。
素材もコットン、シルク、レース、様々でどれがいいのか迷いに迷って定番タイプにした。

トトロのエプロン。
とにかく布が多いの。
幼稚園の先生が着てそうなやつ。
ちなみに俺は腰で巻くタイプがカフェ店員みたいで格好よくて好きだ。

こんな布面積が多いと、もはやただの服じゃないかと思うけど…一応エプロンなわけだし。

裸エプロン定番?のスケスケなやつは生理的に受けつけなかったし、着ている自分を想像したらゾッとしたからやめた。

「これでヒョンを誘惑すんのか…」

想像して鬱になりそうな自分がいて萎えた。
180近い男の裸エプロンなんか普通に引くわ。
ヒョンの方が似合うんじゃないかとすら思う。

そんな事をげんなりしながら想像していたら、ふと我に返ってエプロンを段ボールに放り投げた。

「無理!」

これって実はリノヒョンに遊ばれてたりする?
冷静になればなるほど、なにしてんだろうって何かがストンが落ちた気がした。

「無ければ無いで、もぅいいか」

友達夫婦みたいなのも世の中にはいるらしいし、それで上手くいってるならそれでいい気はする。
なによりヒョンに強要するのも違うし、セックスの有無で悲しいとか寂しいとか変な感情に振り回されたくないし。

最初から無い前提なら悩む必要もないじゃん!

我ながらの名案にすっきりしながら、俺はエプロンが入った段ボールをクローゼットに適当に投げ入れて仕舞った。
何かが吹っ切れたみたいでスッキリした事だし絵でも描こう。
仕舞っていた画材をテーブルに並べて今夜を楽しむことに決定した。





大ショック。
ヒョンジナからやりたい事があるから今日は別で寝る事を提案され、枕を返却されて久しぶりに自室で寝ることになった。

もしかして…俺に愛想を尽かしたんだろうか。 心当たりがありすぎて後悔が止まらない。
これはヤバイと思って何とか部屋に入れてもらって話し合いを持とうとしたけれど最終的に追い出された。
誤解というか、色々考えた結果ヒョンジナとする事ができなくなったという言い訳をしたかったがせっせと追い返されて今に至る。
散々ヒョンジナとの行為を拒否しておいていうのもなんだけど、拒絶されるのは辛いものがあるなって今更ながら感じた。

でも怒っている感じは全くしなかったんだよな。
ヒョンジナと随分前に喧嘩をした時は感情赴くままに激高するタイプだったし…あれから歳月を経て感情のコントロールが出来るようになったのかも知れないけれど。
他に好きな人ができたとか、そんな感じは無いけど黄色信号が灯った事だけは確実だ。

隣から何か物音でもしないかと耳を澄ましたけれどしんと静かで何も聞こえてこない。
リノヒョン、裸エプロンの前に危機が来たようです。


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