君が好き




結局ハニの奴口を割らなかった。
頑固というか、義理堅いというか。
今はその長所が短所に見えるよ。

『リノやめっ、それなに?はあぁっ、それだめだって!』

『リノじゃなくてヒョンでしょ』

『ヒョン!そういうプレイは出来ないから他所でやってよ!』

『他でやったら問題でしょ、恋人いるのに。どんな相談したのか教えてよ、気になる』

手錠をジャラジャラいわせながらジリジリ近づいてくる悪魔のような微笑みのリノ。

『無理!絶対言わない』

『言わないと玩具追加するけど』

『!!』

ヒョンジナとの相談内容が気になる。
ハニが何を話して何を知ってるのか、どんなアドバイスをしたのか知りたい。

我ながら病気かな、と思う程ハニを知りたいと思うんだよね。



「ヒョンジナー」

「あっ、ヒョン、なに?」

番組収録の待ち時間に野菜を食べているヒョンジンを見つけて声をかけた。

「昨日さぁ、ハニに何を相談してたの?」

「え…?あぁ…あの…色々?」

言いたくないらしいヒョンジナの口を割らせるために昨夜の楽しい楽しいハニとのプレイを話すことにした。

「昨夜はハニにも同じように何の相談か聞いたんだけどね。教えてくれないからちょっとだけ遊んであげたんだけどね」

「…遊んで?」

急に何の話だと首をかしげた。

「ハニに手錠かけてやったわけよ、泣いちゃったんだけど。マンネリにならないように新しいプレイも必要かなって」

「サイコパスか…」

ようやく遊びの内容を理解したヒョンジンが思わずそう呟いた。

「で、今ここで何の相談か話さないと今夜新しい玩具をハニに使おうと思うんだけど」

すっかり青ざめてるヒョンジンはリノに言い聞かせるように言った。

「ヒョン、駄目だよ…そんな事やめなよ…」

「守秘義務があるとかで絶対に話さないハニに何の相談だったのか知りたい」

自分が相談を持ちかけたせいでリノに責められているハンが可哀想になり全てを話した。
リノに話したところで相談にならないだろうけど。




「は?守秘義務ってほどの事でもないじゃねぇの」

「夜の話だし気遣ってくれたんだと思う」

なんだ、と拍子抜けのリノ。
身を挺するほどの内容じゃない。
さっさと白状しとけばいいのに。

「そりゃ初回にギャースカ泣かれたら2回目誘えんだろ。気ぃ使うわ」

「だって本当に痛かった…!」

まぁ、通常より根性があるヒョンジナがダンスの練習が出来ないレベルなら相当痛かったんだろうなと想像はできるけど。

「よく考えてみろ。そんだけ痛がって泣いて、しかも生活に支障出たんだから『ほな2回目やりましょかー』とはならないだろ。お前だったらどうするよ」

自分に置き換えてみろ。
好きな人が痛がってるものをしたいと思わないし見たくも無いだろ。

「でも俺がいいって言ってんのに。てことはさ、もうお2度と…一生やらないってこと?」

「チャンビナがそう決めたならそうなんじゃない」

「……」

泣きそうな表情のヒョンジン。
一生レスっていくのか…まだ20代なのに。
それが全てじゃないけど、それは寂しい。
あの時もっと我慢しとけば良かった。

「まぁそこは割り切って本命チャンビナでセフレでも作って性欲はそっちで発散するのもありなんじゃない」

「いや、それは…んー……」

浮気になるから駄目だと言いきらずにぽかーんと考え出したヒョンジンに「駄目だこりゃ」とため息をついた。

重すぎる愛はどこに行ったんだよ。
アホだな、この子。
悩みすぎて思考がまとまってない。

「冗談だよ、冗談」

「あっ、そうだよね」

「チャンビナをしっかり誘惑しろ、その色気の垂れ流しは飾りか」

「飾ってるわけじゃなくて、勝手にそうなってる。それに誘っても乗ってこない、無理!」

「誘うんじゃなく誘惑しろ。チャンビナを刺激してやりたくて仕方が無い状況にまで追い込めよ」

「男を誘惑したことが無いからわからない!」

「はっ!お前ばかか!裸エプロンやるくらいの努力したんか。『やろう』なんて言葉だけじゃなくて視覚でも攻めろよ。男は視覚に弱いんだからAVってもんが存在するんだろうよ」

「は、裸エプロン!?そんな恥ずかしい事できるわけない。しかもこれで断られたら死にたくなるんだけど」

「どうせ死にゃしないから頑張れよ。そんで駄目なら俺に相談しな。面倒臭いからハニは駄目」

「えー…」

「最終的にその相談は俺に辿り着くんだから」

コソコソやってるのをいちいち聞くのは面倒くさい。
今回のハニの口の堅さでわかった。
秘密を共有するには信用できるが、他で秘密を共有させると口を割らせるのが厄介だ。

「…わかったからハニを虐めないでよ」

「はいはい」

元々いつかのタイミングで使う予定だったから良い口実で遊べたんだけどね。


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