君が好き



ヒョンジナとの関係は上手くいっている。
俺は元々なんでも楽しくやりたい方だし、ヒョンジナは思った以上に甘え気質で互いの供給が出来ている方だと思う。

ただセックスに関しては封印した。
やっぱりヒョンジナが痛がっていたし、怪我までさせてしまったからする気にならなくて。
最終的に受け入れてくれていたけど、ヒョンジナが多分渋々受け入れてくれたのであってセックスがよくて最後まで出来たとは思っていない。

無ければ無いで、それもありだと思う。
性欲の部分は各々で処理すればいいし。


「ヒョン、エッチしよ」


と3日に1度は誘ってくるけれどお断りしている。
正直、押し倒したくなるので理性で我慢しているから誘わないで欲しい。

1度してみてわかった事は、思った以上に時間をかけて前戯を丁寧にしなくてはならない事。
本来と違う使い方をするのだから、当然慎重にすべき事でそのさじ加減を見誤ってしまうと相手の体にダメージを与えてしまう。
これは俺が勉強すれば改善できる。

1番の問題は俺が紳士になりきれず、暴走してしまうこと。
途中から理性を失うっていうか、そんなつもりは無くてもヒョンジナのダメージを考える余裕もなくガンガンいってしまうっていうのがよろしくない。

過去のセックスの最中、紳士でいられたのにヒョンジナの場合は無理だとわかった。
だから誘われても自分がまた暴走してしまうだろうから、しない事にした。

断る度にヒョンジナは悲しそうな顔をしていたけれど仕方が無い。
清く正しい交際みたいになったけど…ま、いっか。

とはいえデートは普通にしている。

「この肉めっちゃうまい」

「ビールに合うわー」

おっさんが好んで行くようなレトロな昔からある店だと若い女子がいないから行きつけになっていたりする。
人目はある程度仕方が無いし、慣れてはいるのだけれど無いにこしたことはないから。
念の為にキャップは被りっぱなしだけどね。

美味しく肉を食べて満足して、追加するか相談する。

「追加する?」

「もういいかな。ヒョン冷麺は?」

「けっこうビールで腹が膨れたわー」

会計を済ませて外に出ると涼しかった。
一応店の扉は開きっぱなしだけど、煙がこもる。



「美味しかったー」

路地から大通りに入ると人通りが急に増えた。
有名な観光地とはいかないがそれなりに栄えている。
腹ごなしにアクセサリーや服を見てまわって気に入ったものを購入。
かつてはヒョンジナに服の選び方を教えた事があったなー…なんて懐かしんだ。
今じゃ俺はモノトーンでヒョンジナのファッションの方が色味があって着こなしが良いのかも知れない。
協賛服を着ているというのもだけど。

「ヒョン」

「ん?」

「ここ入ろう」

ヒョンジナの目がキラキラしながら指さした先はカフェだった。
いかにも女子が好きそうな店構え。

「ここはちょっと…」

「焼肉の後のアイス最高なのに」

「コンビニじゃダメ?」

「やー……せっかくここまで来てそういう事言う?」

信じられない、といった表情。
気持ちはわかるんだけどさ。

「ここ女子多いからさ。俺はともかくヒョンジナが囲まれると大変だぞ」

「誰もわかりゃしないって。案外誰も気にしてないから。めっちゃ美味そうなんだけどー」

店先のメニューを見て是非入りたいというヒョンジナに根負けして扉を開けようとしたら…

「「あ」」

「よっ」

「あっ、奇遇」

リノヒョンとハニがちょうど扉を開けて出てきたところだった。
手にはテイクアウトの炭酸飲料。

「さっきから何小競り合いしてんの」

「そんな目立ち方は良くないよー」

サラッと「お先~」と行ってしまった2人を見送って顔を見合わせる。

「リノヒョン達も入ってたじゃん」

「はいはい、アイス食べましょ」

リノ達が来店していた安心感から入店してアイスとアイスアメリカーノをそれぞれ注文した。
こざっぱりだけど温かい雰囲気の空間は居心地が良くてけっこうノンビリできた。
意味も無くダラダラしてしまう感じで帰るのが面倒くさいとすら思うくらいの居心地の良さだった。

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