君が好き



「イエナー、どうした?目、痛いんか?」

楽屋で待機中のスンミンがペットボトルの水を飲みながらアイエンの前を通りかかった。
眉間に皺が寄る一歩手前の表情のアイエンの目線の先にはチャンビン。

「なんか気のせいでは無い気がするんだけど」

あの辺、空気おかしくない?

言われてスンミンがチャンビン方面をよく見ると確かに…

「1人なのにヒョンの喜怒哀楽が凄い」

スンミンの目線の先のチャンビンのそのまた目線の先にはヒョンジン。
ヒョンジンと目が合えば目尻が下がり小花が飛び、ヒョンジナがリノとふざけてふれあおうものなら嫉妬で暗雲が立ちこめる。

「これはもしや…」

とうとう付き合った?

アイエンとスンミンが目を合わせる。

まぁ、いいんだけどさ。

いいんだけど、チャンビニヒョン、わかりやす過ぎて心配なんだけど。



「会議しまーす」

目に光が全く無いリノが棒読みで始めた緊急会議。
集められたのはバンチャンとアイエンの自宅でチャンビンとヒョンジン以外の6人。

「ムッサイわぁー」

男だらけやん、と文句を言うアイエンの額をスンミンがぺちんとしばいた。

「こんな話に事務所の会議室は使えないのでここに集まったんだけどチャンビンとヒョンジンについて」

リノがひと息ついてから再び説明をする。

「2人は付き合ってる」

「あららっ」

目を見開いて思わず出てしまった声を抑えるかのように両手で口を塞ぐハン。

「ほんとに付き合えたの?良かったじゃーん」

めでたし、めでたしといった表情のフィリックス。

「どうりで最近チャンビナ来ないなって思ってた」

前まで作曲だ作詞だと3ラチャはよく集まっていたのに最近回数が減った気がしてたバンチャン。
なんとなくで気づいていたスンミンとアイエンは「でしょうね」といった表情で頷いた。

「俺は厳重注意しました。チャンビナにもヒョンジナにも」

ぐっと感情を抑えているリノにお察しのアイエン。

「にも関わらずあの調子では、もはや周囲にバレるのは時間の問題…。外でイチャつくなと言ったし本人達は守ってるんだけど…!」

溢れだすあのオーラが凄くて…!

リノは頭を抱えた。
いったいどうしたら。
バンチャンから改めて厳重注意?
でも実際のところイチャイチャしてないから、独特なオーラを止めろとか無理難題でしかない。
しかもバンチャン、実務以外は介入しないっていうか気づいてないっていうか…。

「あえての野放しでいいんじゃない?」

ニッコリ笑ったフィリックス。

「ため込むとダムは決壊しちゃうからね。少しずつ放流した方が安全ってもんよ」

我慢は精神的にも良くないし、今は楽しい時期なんだからもう少し様子見しよう。
おおらかな意見を出したフィリックスに「それもそうだなー」と頷いたバンチャン。
おおらかなのはオーストラリア人の良いところよ。

見守るという選択肢。
これは正解なのか。
2人が一般人なら、それも1つ。
いや、むしろそうするだろう。
2人は公人だ。 何かあれば傷つくのは2人だし、スキャンダルで事務所に迷惑をかけてしまう事も充分あり得る。


「森に隠そう」

アイエンがおもむろに口を開いた。

「いや、流石に埋めるとか」 ねーよ。

散々サイコパスだなんだと言われてきたが生き埋めの選択は思いつかなかった。
あの2人どこ行ったー? ってなるだろ。

「ヒョン、発想がサイコ。埋めないから」

アイエンが呆れた顔して言った。

「古の時代から真しやかにある文化を知ってる?」

「いに…しえ?文化…?」

アイエン以外が「なんだそれは」と不思議そうな顔をした。


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