君が好き




ヒョンジナからのキスをされた日から少しずつ日常が変化した。

自宅では前より積極的に絡んで来てくれるし、外でふと目が合うと照れたようにニコッとしてくれる。

やっと付き合っている実感が湧いてきた。

あまりにも外ではそういう感じにならなくて、プロアイドルとしては正しい姿なんだけど寂しかったんだよね。

「ヒョン、ちゅーしよ」

あざとい上目遣いで迫ってきては触れるだけのキスを毎日のようにしてくれる。
ご飯の上におかず乗せてくれたり愛情表現もばっちり。

家の中では新婚さん気分です!

甲斐甲斐しく愛情表現をしてくれる理由はなんとなくわかる。
俺の事をちゃんと意識してくれていると同時に恋の主導権というか引っ張っていきたいという気持が強いんだと思う。
俺はその辺のこだわりはないけど、ヒョンジナにとっては気にするところなんだろうな。

「ヒョン、お菓子食べよう」

「ヒョン、爪のネイルが剥がれてきた」

「ヒョン、明日の天気は雨らしいよ。そういえば長靴って何歳まで履いてた?」

「3足で一万ウォンの靴下買ったら1足22センチのがあって入んないんだけど、手ならほぼぴったりなんだよね」

ほぼどうでも良い話を提供してくるヒョンジナに付き合う。

可愛いなぁ……

一生懸命なとこが男心には刺さりますよ。

「そういえば実家にいるカミの毛が凄い抜けてて服が毛だらけになっちゃって、ブラッシングしたんだけど顔とか頭って毛が短いからブラシに絡まらないじゃん?」

「おー」

「仕方が無いから指でわしゃわしゃしたら短い大量の髪の毛が服とかソファーに散ってコロコロしまくったわー」

「髪の毛?」

「意外とブラッシングの盲点で頭とか顔忘れがちよな」

「ヒョンジナの髪の毛の話?」

「カミの髪の毛。話聞いてた?」

犬に髪の毛は無いだろ。
全身毛だろ。

「カミには髪の毛生えてんの?」

「みんなあるでしょ」

なんか変な事言ってるぞ。
ヒョンジナの説明によると頭に毛が生えている生き物の頭の毛は髪の毛になるらしい。
例えばダチョウの頭の毛も髪の毛らしい。

「じゃあさ、髪の毛と毛の境目はどこなん。頭から顔にかけて毛だらけじゃん」

「おでこより上が髪の毛でしょ」

「じゃあ後ろは?」

「頭蓋骨と首の境目までが髪の毛」

「初めて聞いたわ。でもうなじは?首に生えた髪の毛は?」

「…考えたこと無かった」

犬にうなじはあるのか?
と悩むヒョンジナ。
そもそも髪の毛というカテゴリーも無いと思うぞ。

という平和でふわっとした日常を送っております。
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