君が好き




今何が起きているんだ!?

『俺と付き合って!』

ヒョンジナの口から飛び出たパワーワードに一瞬思考が止まり、そして結論が出た。

熱、実はまだあるんちゃうか?

ヒョンジナの額に掌を添えたが平熱っぽい。

「熱はもう無い」

ムッとしたヒョンジンがチャンビンの手を下ろした。

「まだ具合悪いんか?」

「なんでそんな事いうわけ!今そういう気になったんだから付き合えばいいじゃん」

「いや、ごめん、急に言われても…」

合間にピーピーとレンジの音が鳴ったけれどもはやお粥どころではなくなった。

ちょっと待って、何が起こってるわけ?

ヒョンジナが付き合ってと言っている。

正気か!?

どうして急に…あっ、病み上がりに優しくして貰ったからか!お粥効果!

なら、それは断る。
明日になったら平常心を取り戻すだろうから。

「ヒョンジナー、お粥食いなさーい」

俺はお粥の蓋を開けてスプーンと一緒にテーブルに運ぶ。

「なんでスルーするの!」

抗議の姿勢を示し始めたヒョンジナを軽くかわしながら俺は自分の部屋に引っ込もうとした。

「ヒョン!」

「気の迷いだから。病み上がりは気が揺らぐものなんよ」

だから冷静になれ、と警告した。
警告したけれど益々抗議を強めるヒョンジナに少しイラッとした。

「ヒョンが告白したのに、なんで?いいよって言ってるのに!」

「だから!」

俺はヒョンジナの胸ぐらを掴んでソファーに引き摺っていき押し倒してヒョンジナに乗り上げ互いの目と目の距離を近づけた。

「付き合うって、この距離でいるって事なんだよ。大人なんだからわかるよな」

俺はヒョンジナの尻に手をまわし強めに掴んだ。

「俺を弄ぶな」

すっかり固まったヒョンジナから離れてソファーに座りため息をつく。
わかりやすく男と付き合うと言うことは、将来的にそうなるという事を想像してもらわないと。

シュンとなって上半身を起こし俺の方を向いたままボロボロ涙を流したヒョンジナ。
このまま引き下がるのかと思いきや…

「なんで!なんでヒョンが俺を押し倒す前提!俺が押し倒す方かもしれないじゃん!身長は俺の方が高いんだら襲われるのはヒョンじゃん!」

怒りの矛先そっち!
なに、本気で付き合うつもりでいるの?
俺としては押し倒しても、押し倒されてもどっちでもいいけど。

「俺、ちゃんと考えたのに!ヒョンが本気で俺の事好きだってわかって、何が正解かわからないのに真剣に悩んだのに。ヒョンの方こそ俺を弄ぶな!」

めちゃくちゃ怒ってる…。
泣きながら怒るって…やばい、可愛い。



「わかった、付き合おう」

ヒョンジナを正面から抱き寄せて背中をトントンと叩いた。

「本当に?」

「うん、なんかもう手放したくなくなった」

少しずつヒョンジナの表情が和らいでいく。 やっぱり好きなんだよな。
怒られたら怒られたで、それすら愛おしく感じるんだから。

「俺、重いって言われるけど大丈夫?」

「多分…度合いにもよるけど」

「ヒョン、スマホ」

ヒョンジナがむくりと顔をあげ、そして手を差し出す。
言われた通りに差し出すとおもむろに弄りだし…

「電話帳、俺の登録名変えといたから」

見ると『ヒョンジナ』から『ウリ ヒョンジナ』に変わっていた。

こんなベタな甘々いいんだ。
クールな顔して意外!
でもこれはこれで…いい!

「それから必要ない番号は消去して」

「え……?」

「浮気の心配したくないからさ」

にっこり微笑んだヒョンジナ。
これも意外!
束縛したい系?なのかな。

俺は言われた通りに使わないであろう番号だけ消去した。
とはいえ、10件くらいで他は仕事関係だから消せなかったんだけど。


納得したヒョンジナが照れながらようやくお粥に手を付け始めた。
急展開に吃驚したドキドキとヒョンジナと付き合える事になったドキドキで心臓が壊れそうになった。

「ヒョンジナー」

「なに?」

ご機嫌なヒョンジナの横にピッタリくっついた。

「今日は一緒に寝る?せっかくだし」

なにをするわけでは無いけれども、既に同居…考えようによっては同棲している訳だし、そっからスタートでも良いかなって。


「断る」

速攻で断られた。
その後は懇々と説教。
まずは順番を守れとの事だ。

うんうん、そうだね。
いくらなんでも節操が無かったよね。

甘々と束縛と、順番を気にするヒョンジナの新しい発見に大満足な一夜でした。


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