木舌
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「あ~っ!ナマエ~!」
平日の昼間。閻魔庁の者がドタバタと仕事に追われる中、やけに間延びした声が聞こえてきた。ついでに漂ってくるアルコール臭。これは間違いない。アイツだ。
「またですか、木舌さん」
「そんな他人行儀にしないでよ。いつもみたいに木舌って呼んで」
「黙ってください木舌さん」
予想通りそこに立っていたのは緑色の目をしたその人だった。こちらが勤務中であるにも関わらず、酒瓶片手にへらへらと話しかけてくる。幸い人気がない場所だからよかったものの、これを同僚や上司に見られたら、と思うとぞっとする。
「も~。そんな冷たいと俺悲しくて飲酒しちゃうよ~」
よよよ、と床に崩れかける木舌の体を無理やり引き上げ、腕を肩にかける。鼻孔を突き抜けるアルコール臭がさらにひどくなった。
「ちょっと、やめてよここ私の職場でしょ。あともう飲酒してるでしょ。てか重い。図体ばっかり大きいんだから」
そう辛辣に返せば、私の肩にかけた腕に力をこめ、密着して来る。
「え~。でも昨日会いに来て良いって言ってたのに。楽しみにしてたのにな~。悲しいな~」
俺のナマエが冷た~い。と文句を言いながら私の頬を突いてくる。
「誰も飲酒した状態で来るとは思わないでしょ!もう。とにかく、その状態でここにいられるのは困るから!はやく戻りなさいよ」
ふらふらしている体を無理やりにシャキッと立たせてやると、立たせたそばからまたふらふらとし始める。それにイライラし始めたころに、やっと木下は出口の方へ体を向けた。と思えばまたこちらに向き直る。
温かみのある緑色の目に喜色を滲ませて、彼は私に手のひらを差し出すよう促した。
「それじゃ、先に行ってるね。はい、合鍵。今日は絶対定時であがること」
軽い金属音を立てて、差し出したそこに銀色の塊が置かれる。
「俺、ちゃんと任務頑張ったから。今日はご褒美、楽しみにしておくよ」
そう言って出口へ向かってふらふらと進んでいく。
示された「ご褒美」の文字に頬が赤くなるのを感じつつ、明日は腰が役立たずになるな、と悟る。あの目に見つめられると、なんだか気が弱くなる気がする。明日の仕事はいつもより大変になりそうだ、と腰をさすりつつ、仕事の続きをするべく歩を進める。
それでも少しだけ足取りが軽いのは、ここだけの話。
平日の昼間。閻魔庁の者がドタバタと仕事に追われる中、やけに間延びした声が聞こえてきた。ついでに漂ってくるアルコール臭。これは間違いない。アイツだ。
「またですか、木舌さん」
「そんな他人行儀にしないでよ。いつもみたいに木舌って呼んで」
「黙ってください木舌さん」
予想通りそこに立っていたのは緑色の目をしたその人だった。こちらが勤務中であるにも関わらず、酒瓶片手にへらへらと話しかけてくる。幸い人気がない場所だからよかったものの、これを同僚や上司に見られたら、と思うとぞっとする。
「も~。そんな冷たいと俺悲しくて飲酒しちゃうよ~」
よよよ、と床に崩れかける木舌の体を無理やり引き上げ、腕を肩にかける。鼻孔を突き抜けるアルコール臭がさらにひどくなった。
「ちょっと、やめてよここ私の職場でしょ。あともう飲酒してるでしょ。てか重い。図体ばっかり大きいんだから」
そう辛辣に返せば、私の肩にかけた腕に力をこめ、密着して来る。
「え~。でも昨日会いに来て良いって言ってたのに。楽しみにしてたのにな~。悲しいな~」
俺のナマエが冷た~い。と文句を言いながら私の頬を突いてくる。
「誰も飲酒した状態で来るとは思わないでしょ!もう。とにかく、その状態でここにいられるのは困るから!はやく戻りなさいよ」
ふらふらしている体を無理やりにシャキッと立たせてやると、立たせたそばからまたふらふらとし始める。それにイライラし始めたころに、やっと木下は出口の方へ体を向けた。と思えばまたこちらに向き直る。
温かみのある緑色の目に喜色を滲ませて、彼は私に手のひらを差し出すよう促した。
「それじゃ、先に行ってるね。はい、合鍵。今日は絶対定時であがること」
軽い金属音を立てて、差し出したそこに銀色の塊が置かれる。
「俺、ちゃんと任務頑張ったから。今日はご褒美、楽しみにしておくよ」
そう言って出口へ向かってふらふらと進んでいく。
示された「ご褒美」の文字に頬が赤くなるのを感じつつ、明日は腰が役立たずになるな、と悟る。あの目に見つめられると、なんだか気が弱くなる気がする。明日の仕事はいつもより大変になりそうだ、と腰をさすりつつ、仕事の続きをするべく歩を進める。
それでも少しだけ足取りが軽いのは、ここだけの話。
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