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へし切長谷部

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 いつだってこちらを見ています。へし切長谷部がこちらを見ています。
 それはおはようからお休みまで、お休みになっているときでさえ、こちらを見ています。

 へし切長谷部は不思議な生き物です。人のような形をしており、極めてヒトに近い言動を取る、ヒトっぽい生き物です。

 へし切長谷部の生態は、まだあまり解明されていません。ごくまれに、「そこにいる。こちらを見ている」という報告が挙がりますが、詳しく調査することはできていません。というのも、へし切長谷部は特定の人物の前のみに現れ、その人物を凝視するらしいのですが、出現するタイミングに規則性はなく、また、場所も様々です。

 以前とある団体(以下団体A)が実験を行いました。へし切長谷部の被害に遭っているという人物(以下S)を、大型の金庫のようなものに閉じ込め、一週間ほど観察するというものです。
 金庫には厳重に鍵がかけられており、これを開錠するためには団体Aに所属する上位管理者三名が所持している鍵と、ランダムに生成されて英数字6桁の暗証番号が必要です。また、その3人はそれぞれ遠い場所に派遣されるため、短期間での鍵の回収は困難です。さらに、この金庫の外にはもう一枚厳重に管理されている大きな扉があり、これも金庫と同様の鍵の管理をされています。
 ここでいう鍵とは生体認証システムのことであり、複製は極めて困難です。鍵としてどの部位が鍵の所持者と扉の管理者のみが知っています。
 以上の点から、この金庫は内部の人間ですら開錠が困難であることが分かります。
 金庫の内部は10畳ほどの空間があり、1週間の生活には困らない設備が取り揃えてあります。被験者Sは、ここで普段通りに生活をします。内部には監視カメラとマイク、サーモグラフィが設置されており、ここで起きるすべてのことは団体Aの上位管理者によって記録され、管理されます。

 以下は、金庫内部で異変があった際の音声の切り抜きです。

「い、いる」
(床を這い、後退するような音)
「長谷部、なんで」
「どうして何も言わないの。私を恨んでいるからこんなことをしているの?」
「ゲームを消したから?そうなの?」
「だってもう私、社会人なのよ」
「いつまでもゲームなんてできる訳ないじゃない」
「なんで何も言わないの」
「もう許してよ」

ー音声記録終了ー

 以上の音声が記録されている間、カメラには被験者S以外の生き物は確認されていません。
 この音声データに、ゲームという発言があったため、これについてインタビューが行われました。

「先ほどへし切長谷部が現れた際に、ゲームという発言をされていましたね。このゲームとは何のことですか」
「ゲームというのは、刀剣……、あれ、なんでしたっけ」
「刀剣?刀剣が関係あるものですか」
「すみません、よくわからなくて。私、ゲームなんて言いましたっけ?」
「ええ、確かにおっしゃっていました」
「おかしいな、全く心当たりがないんですけど」

 以上のように、度々被験者Sからはゲームという言葉が発せられましたが、直後に行われるインタビューでは全く記憶に残っていないという証言しか得られませんでした。
 また、被験者Sの刀剣という発言から、へし切長谷部に関係があると思われる刀剣を探しましたが、それらしきものは発見されませんでした。
 以上のことから、へし切長谷部は認識阻害を起こすようないきものであると推測されます。

 被験者Sにへし切長谷部の見た目をスケッチさせたところ、茶髪の男性が描かれました。似た人物を探し、被験者に見せましたが、そのどれもが違うようです。

 団体Aが行った実験ではこれ以上の情報は収獲できませんでした。

 へし切長谷部とは何なのでしょうか。
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