悪戯はほどほどに
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ジャック・オー・ランタンやお化けの飾りが施されたグランサイファー。団員たちの楽しそうな声があちこちから聞こえてくる。
パーシヴァルの部屋で過ごす約束をしているナマエは、彼の部屋へと軽やかな足取りで向かっていた。
大好きな恋人に会えるのはそれだけで胸が躍るが、今日がハロウィンということも彼女の心を沸き立たせていた。
「ふふっ、パーシヴァル様はどんな反応をするでしょうか?」
ナマエはパーシヴァルへの悪戯を計画していた。
いつもは落ち着いた彼のリアクションを想像しながら、鞄をそっと撫でる。
そうこうしているうちに彼の部屋の前に辿り着いた。
逸る気持ちを抑えて、ノックとともに声をかける。
「パーシヴァル様、ナマエです」
「今開けるから待っていろ」
ほどなくしてドアが開く。
そわそわしているナマエと違い、パーシヴァルは普段通りに見えた。
「お邪魔します」
「あぁ楽にしてくれ」
彼の部屋に入るのは何度目だろうか。少し慣れたとはいえ、まだ少し緊張してしまう。今回は目的もあるから尚更だ。
気持ちを落ち着けるように深呼吸してから、早速お約束の言葉を口にした。
「パーシヴァル様! トリックオアトリート! です!」
「これをやろう」
「!」
ナマエが言い終えるのとほぼ同時に、パーシヴァルは彼女にお菓子を押し付けた。
ハロウィンらしいオレンジのラッピングが施されたそれは、ナマエのお気に入りの店のもの。子供たちに配るために用意したのだろうか。
手元のお菓子とパーシヴァルを見比べ、ナマエは肩を落とす。
「パーシヴァル様にイタズラしたかったです……」
「やはりそういうことか。お前のにやけた顔を見て、嫌な予感がしたんだ」
団長やランスロットの悪戯の標的になりがちなパーシヴァルは、ハロウインに対する警戒心が強くなっていた。
さらに、素直なナマエは悪戯したいという気持ちが分かりやすい。
「イタズラするのも難しいんですね」
「なんだそれは。菓子をやったのだから良いだろう。お前の好きな店だぞ」
「このお店は好きですけど……」
せっかくもらったのに申し訳ないと思いながらも、悪戯の方が良かった。
お菓子は今日でなくとも食べられるが、悪戯を仕掛けられるのは一年で今日しかない。
別にハロウィン以外ダメという決まりはないのだが、ナマエはハロウィンに拘っていた。
がっかりとした彼女をしばらく眺めていたパーシヴァルはゆっくりと溜息をつく。
「……分かった。お前の好きにしろ」
「え?」
「悪戯でもなんでもすれば良い」
「ありがとうございます!」
結局、パーシヴァルが折れることになる。
箱入りな彼女は人に悪戯するような機会も無かっただろう。それを奪ってしまうのは憚られる気がした。
なにより、残念そうな表情。パーアシヴァルはナマエが笑っていないと落ち着かないのだ。
つくづく甘いと自覚しながらも、それを不快とは思わなかった。
「では、目を瞑って少し屈んでいただけますか?」
「あぁ分かった」
いつもの調子を取り戻したようで、明るい声に安心する。
ごそごそとナマエが動いている気配はするが、すぐに何かが起こることはなかった。
一体どんな悪戯をするつもりだと思案する。
まさかキスでもするつもりか――と淡い期待を抱いたそのとき。
頭に何かをつけられたのが分かった。
「はい! もう目を開けて大丈夫です!」
「これは……」
「猫耳です! ふわふわして気持ち良いですよね! 手触りの良い物を探したんですよ!」
頭につけられた物に手をやると、たしかにもふもふとして触り心地が良い。上質な素材だということが分かる。
しかし、素直に喜べなかった。
自身の不埒さを恥じる気持ち。人の気も知らないで満足そうに笑っているナマエへの苛立ちも少しあった。
「団長さんから以前のハロウィンのお話を聞いて羨ましかったんです! 私もパーシヴァル様の仮装見たかったなって。そうしたら、団長さんとランスロットさんが一緒に考えてくれて」
「ほう、あの二人が」
人に悪戯するタイプではないナマエの行動はそういうことだったのか。後で覚えていろ、と今も悪戯に精を出しているであろう二人へ念を送る。
そんなパーシヴァルを改めてまじまじと見つめ、ナマエは嬉しそうに両手を合わせた。
「思った通り似合っていますね! とっても可愛らしいです!」
「……」
褒められているのだろうが、全く嬉しくない。つけ耳など羞恥の対象でしかない。そんな姿を可愛いなど、いや、どんな姿でも可愛いなどと言われるのは嬉しくない。
悪気は無いにしても、こちらの意に反してばかりの彼女に苛立ちが募っていく。
「trick or treat」
「え?」
「お前は菓子を用意しているのか?」
「持っていませんけど、ど、どうしたんですか?」
先程パーシヴァルからもらった物はダメだろう。
何故そんなことを聞のか。のん気なナマエも不穏な空気を感じて身構えた。
パーシヴァルは甘い物を好まないし、こういった行事は子供のためだと与える側だったはず。
「では、決まりだな。ナマエ」
少年のように楽しそうに笑うパーシヴァルは、どこか妖艶さも感じさせる。
自身のつけ耳を外し、動揺しているナマエの頭に装着した。
やはり彼女が身に付けた方がずっと良い。漆黒の耳は彼女の銀の髪によく映える。
「可愛らしいな」
この言葉も、自分ではなくナマエにこそ相応しい。
そっと囁くと彼女の頬が赤く色づく。
パーシヴァルはその頬を包み込み、、驚きで開かれた唇に口付けを落とした。
「パ、……んんっ」
そのままナマエの声ごと飲み込んでしまう。
甘やかな唇は、彼女に渡した菓子も他のどんな菓子だってきっと敵わないだろう。
その心地良さに酔いしれながら、指の腹でナマエの顎を撫で上げた。
「っ……」
ぎゅっと目を閉じ快楽に震える姿は、頭上の耳も相まって猫のようだ。
ようやくナマエを解放したパーシヴァルは、満足げに笑う。
「なるほど……たしかに気持ちの良いものだな」
「そっ、そういう……っ!」
そういう意味ではないと上げた抗議の声は、なおも続くパーシヴァルの悪戯によって再び消えゆくのだった。
パーシヴァルの部屋で過ごす約束をしているナマエは、彼の部屋へと軽やかな足取りで向かっていた。
大好きな恋人に会えるのはそれだけで胸が躍るが、今日がハロウィンということも彼女の心を沸き立たせていた。
「ふふっ、パーシヴァル様はどんな反応をするでしょうか?」
ナマエはパーシヴァルへの悪戯を計画していた。
いつもは落ち着いた彼のリアクションを想像しながら、鞄をそっと撫でる。
そうこうしているうちに彼の部屋の前に辿り着いた。
逸る気持ちを抑えて、ノックとともに声をかける。
「パーシヴァル様、ナマエです」
「今開けるから待っていろ」
ほどなくしてドアが開く。
そわそわしているナマエと違い、パーシヴァルは普段通りに見えた。
「お邪魔します」
「あぁ楽にしてくれ」
彼の部屋に入るのは何度目だろうか。少し慣れたとはいえ、まだ少し緊張してしまう。今回は目的もあるから尚更だ。
気持ちを落ち着けるように深呼吸してから、早速お約束の言葉を口にした。
「パーシヴァル様! トリックオアトリート! です!」
「これをやろう」
「!」
ナマエが言い終えるのとほぼ同時に、パーシヴァルは彼女にお菓子を押し付けた。
ハロウィンらしいオレンジのラッピングが施されたそれは、ナマエのお気に入りの店のもの。子供たちに配るために用意したのだろうか。
手元のお菓子とパーシヴァルを見比べ、ナマエは肩を落とす。
「パーシヴァル様にイタズラしたかったです……」
「やはりそういうことか。お前のにやけた顔を見て、嫌な予感がしたんだ」
団長やランスロットの悪戯の標的になりがちなパーシヴァルは、ハロウインに対する警戒心が強くなっていた。
さらに、素直なナマエは悪戯したいという気持ちが分かりやすい。
「イタズラするのも難しいんですね」
「なんだそれは。菓子をやったのだから良いだろう。お前の好きな店だぞ」
「このお店は好きですけど……」
せっかくもらったのに申し訳ないと思いながらも、悪戯の方が良かった。
お菓子は今日でなくとも食べられるが、悪戯を仕掛けられるのは一年で今日しかない。
別にハロウィン以外ダメという決まりはないのだが、ナマエはハロウィンに拘っていた。
がっかりとした彼女をしばらく眺めていたパーシヴァルはゆっくりと溜息をつく。
「……分かった。お前の好きにしろ」
「え?」
「悪戯でもなんでもすれば良い」
「ありがとうございます!」
結局、パーシヴァルが折れることになる。
箱入りな彼女は人に悪戯するような機会も無かっただろう。それを奪ってしまうのは憚られる気がした。
なにより、残念そうな表情。パーアシヴァルはナマエが笑っていないと落ち着かないのだ。
つくづく甘いと自覚しながらも、それを不快とは思わなかった。
「では、目を瞑って少し屈んでいただけますか?」
「あぁ分かった」
いつもの調子を取り戻したようで、明るい声に安心する。
ごそごそとナマエが動いている気配はするが、すぐに何かが起こることはなかった。
一体どんな悪戯をするつもりだと思案する。
まさかキスでもするつもりか――と淡い期待を抱いたそのとき。
頭に何かをつけられたのが分かった。
「はい! もう目を開けて大丈夫です!」
「これは……」
「猫耳です! ふわふわして気持ち良いですよね! 手触りの良い物を探したんですよ!」
頭につけられた物に手をやると、たしかにもふもふとして触り心地が良い。上質な素材だということが分かる。
しかし、素直に喜べなかった。
自身の不埒さを恥じる気持ち。人の気も知らないで満足そうに笑っているナマエへの苛立ちも少しあった。
「団長さんから以前のハロウィンのお話を聞いて羨ましかったんです! 私もパーシヴァル様の仮装見たかったなって。そうしたら、団長さんとランスロットさんが一緒に考えてくれて」
「ほう、あの二人が」
人に悪戯するタイプではないナマエの行動はそういうことだったのか。後で覚えていろ、と今も悪戯に精を出しているであろう二人へ念を送る。
そんなパーシヴァルを改めてまじまじと見つめ、ナマエは嬉しそうに両手を合わせた。
「思った通り似合っていますね! とっても可愛らしいです!」
「……」
褒められているのだろうが、全く嬉しくない。つけ耳など羞恥の対象でしかない。そんな姿を可愛いなど、いや、どんな姿でも可愛いなどと言われるのは嬉しくない。
悪気は無いにしても、こちらの意に反してばかりの彼女に苛立ちが募っていく。
「trick or treat」
「え?」
「お前は菓子を用意しているのか?」
「持っていませんけど、ど、どうしたんですか?」
先程パーシヴァルからもらった物はダメだろう。
何故そんなことを聞のか。のん気なナマエも不穏な空気を感じて身構えた。
パーシヴァルは甘い物を好まないし、こういった行事は子供のためだと与える側だったはず。
「では、決まりだな。ナマエ」
少年のように楽しそうに笑うパーシヴァルは、どこか妖艶さも感じさせる。
自身のつけ耳を外し、動揺しているナマエの頭に装着した。
やはり彼女が身に付けた方がずっと良い。漆黒の耳は彼女の銀の髪によく映える。
「可愛らしいな」
この言葉も、自分ではなくナマエにこそ相応しい。
そっと囁くと彼女の頬が赤く色づく。
パーシヴァルはその頬を包み込み、、驚きで開かれた唇に口付けを落とした。
「パ、……んんっ」
そのままナマエの声ごと飲み込んでしまう。
甘やかな唇は、彼女に渡した菓子も他のどんな菓子だってきっと敵わないだろう。
その心地良さに酔いしれながら、指の腹でナマエの顎を撫で上げた。
「っ……」
ぎゅっと目を閉じ快楽に震える姿は、頭上の耳も相まって猫のようだ。
ようやくナマエを解放したパーシヴァルは、満足げに笑う。
「なるほど……たしかに気持ちの良いものだな」
「そっ、そういう……っ!」
そういう意味ではないと上げた抗議の声は、なおも続くパーシヴァルの悪戯によって再び消えゆくのだった。
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