3.幸福
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ナマエたちは、聖堂から出てきたロミオとジュリエットを出迎える。
出会ってから今日まで、様々な困難があったがそれを乗り越えついに二人は結ばれた。
今まで一番美しく、幸せそうな姿に、誰もが喜びを感じる。
「二人が結ばれて、これほど幸せなことはない」
晴れやかな表情のパリス。本心からの言葉なのだろう。
もちろんナマエだって二人が幸せになってくれて幸せだが。
「……パリス、貴方はもう少し自分の幸せを考えても良いんじゃないかしら?」
彼は二人を支え続け、ジュリエットに想いを寄せていたのに結ばれることもなく。
それでもただ二人が幸せになることを祈っている。もう少し欲深くなったって罰は当たらないのではないだろうか。
こんなおめでたい席で言うべきことではないと思っていても、つい口から出てしまった。
むしろこういった場だからこそだろうか。心配事が減って、気が緩んでいるのかもしれない。
「ナマエ、それは君の方ではないか?」
「え?」
目を瞬かせるナマエに、全く自覚が無いのだなとパリスはため息を吐く。
「私は別に……」
「僕は皆に幸せになってほしい」
ナマエの言葉を遮ったのはロミオだった。
少し会話が聞こえただけが、二人が険悪にならないようにと気遣っていた。
なによりそれは、ロミオがずっと考えていたことで。
「皆に支えてもらわなければ、僕達はここまで来られなかった。本当に感謝しているし、大切な君達にも幸せでいてほしい」
「もちろん私も同じ気持ちよ」
ロミオにそっと寄り添うジュリエット。
見つめ合って微笑んだ後、ロミオはロミオはジュリエットの耳に口を寄せて、内緒話をする。
「とても素敵だわ!」とジュリエットは嬉しそうに手を合わせた。
「おいおい、一体なんだってだ?」
一同が首を傾げていると、ジュリエットは自身が持っていたブーケのリボンをしゅるりとほどいた。
纏められていた花束をひと房分けるとルリアに差し出す。
「どうぞ」
「うわぁ良いんですか?」
「花嫁のブーケを渡すのは『幸せのおすそ分け』なんだって。だからこれは皆に渡したいと思ったんだ」
ロミオが説明する間にもジュリエットは皆に花を手渡していく。
グランやビィはこういったことに慣れておらず少し照れくさそうだった。
全員に渡し終え、ロミオとジュリエットは皆の顔を見渡す。
それぞれの幸せそうな顔に二人も満足げだった。
自分たちの幸せを願ってくれた人たちが、幸せでありますように。
「それから……僕は誰にも頼らず、一人で抱えようとして失敗してしまったことがある。打ち明けることで、変わることもあるかもしれない。何かあったら言ってほしい。君達がそうしてくれたように、力を貸すから」
「ありがとうございます!」
「お前達も、またなんかあったら言えよ! ふたりを邪魔するヤツがいたらぶっ飛ばしてやるからな」
そのまま和やかに結婚式が終わり、ナマエは考えていた。
「幸せ、か……」
ロミオとジュリエットが結ばれたことは本当に嬉しい。
ロミオの死から止まり続けていたジュリエットの時間もようやく動き出した。
これから二人は未来へと歩き続けるだろう。
ならば、自分はどうなのだろう。
パリスに惹かれ、この想いを秘め続けると決めたあのときから、なにか変わっただろうか。
このままでは、前に進めないのではないだろうか。
『打ち明けることで、変わることもあるかもしれない』
ロミオの言葉が蘇った。
告げたところで想いが返ってこないことは分かっている。
パリスを困らせてしまうのはダメだと自分に言い聞かせてきた。
でも、言ってしまっても許されるのだろうか?
「ダメよ、ロミオの言っていることはそういうことじゃないでしょう?」
自分に都合良く受け止めすぎだと首を振る。
長年我慢し続けてきたのに、何を今さら。