それが零でないなら
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「戸愚呂さまと同じところに行きたい」
「戸愚呂が選んだのは地獄の中でも最も過酷な冥獄界だ。なんの罪も犯していないお前が行く場所ではない」
「自分が行けるところより下層なんだったら許可してくれてもいいと思う」
「しかし……」
「わたしにとっては戸愚呂さまがいない方が地獄だよ」
冥獄界がどれほど恐ろしい場所なのか、分かりやすく説いても少女は譲らない。
彼女の経歴を見返して、コエンマは再び溜息をつく。
人間とさほど変わらぬ力しか持たない妖怪。そのために他の妖怪にとっては都合の良い玩具だったようだ。
彼女をいたぶっていた妖怪がたまたま戸愚呂に殺され、戸愚呂に懐いていたらしい。
といっても戸愚呂と出会ったのはほんの数カ月前の話。
彼が亡くなった今、その狭すぎる視野を広げて生きろと言いたいところだが彼女は死んでしまった。
「……」
弱肉強食の妖怪の世界でただ搾取されるだけの存在だった少女。
その世界が終わり、見つけた光とのあまりに早い別れ。
同情の余地はあるのかもしれない。
そして、少女の存在はただ己を罰し続けることを望んだ男にとっても――。
「お前がそこまで言うならわしは認めよう。ただし、戸愚呂が駄目だと言ったら戻ってこい。早く行かんと戸愚呂に追い付けんぞ。戸愚呂に会えなかった場合も戻ってくるのだ」
「はーい!ありがとう!」
少女はこれから地獄へ向かうとは思えない笑顔を浮かべる。
*****
幻海と別れた直後、背後から自分を呼ぶ能天気な声にさすがの戸愚呂も耳を疑った。
「左京さんが会場を爆破したんです。その崩落でわたしも死んじゃいました」
死んだというのに少女は常と変わらぬ笑みを向けてくる。
いや、非力な彼女は武術会の途中で誰かの妖気にあてられ死んでも不思議ではなかった。
戸愚呂に会う前だって、いつ殺されてもおかしくない状況だったのだ。
だからだろうか、彼女は自分の死をあっさりと受け入れてる。
しかし、へらへらとしていた少女は急に表情を引き締めた。
「わたしも、戸愚呂さまと同じ所に行きたいです」
「お前はオレのように罪を犯したわけではないだろう」
「コエンマ、さん……には許可をもらいました。戸愚呂さまが認めてくれたら良いと」
最後の最後にとんでもない土産を寄越したものだと戸愚呂は驚愕する。
少女の今後を決定する資格など自分にはないが、どう考えてもこの地獄は不釣り合いだ。
何故コエンマはあえてここまで連れてきたのか。
「わたしは、これからも戸愚呂さまの背中を追いかけたいんです」
見上げる少女の瞳に息を呑んだ。
共に戦った幻海や浦飯幽助のような強さを感じさせる意志の宿った目。
ただの弱いだけの存在だと思っていたのに。
「……呆れるほどの物好きだな」
思えば、初めて会った時からそうだった。
下級妖怪なら震え上がるはずの戸愚呂に嬉しそうについてきた。
元より死を恐れていないのだとしても、好んで自分と関わろうとは。
背を向け迷いなく歩き出す戸愚呂に、少女は今までで一番の笑顔でついていく。
二人の行く先は地獄。待つのは苦痛。そして、最後は無に帰るのみ。
それでも、二人の胸には一筋の光が宿っていた。
「戸愚呂が選んだのは地獄の中でも最も過酷な冥獄界だ。なんの罪も犯していないお前が行く場所ではない」
「自分が行けるところより下層なんだったら許可してくれてもいいと思う」
「しかし……」
「わたしにとっては戸愚呂さまがいない方が地獄だよ」
冥獄界がどれほど恐ろしい場所なのか、分かりやすく説いても少女は譲らない。
彼女の経歴を見返して、コエンマは再び溜息をつく。
人間とさほど変わらぬ力しか持たない妖怪。そのために他の妖怪にとっては都合の良い玩具だったようだ。
彼女をいたぶっていた妖怪がたまたま戸愚呂に殺され、戸愚呂に懐いていたらしい。
といっても戸愚呂と出会ったのはほんの数カ月前の話。
彼が亡くなった今、その狭すぎる視野を広げて生きろと言いたいところだが彼女は死んでしまった。
「……」
弱肉強食の妖怪の世界でただ搾取されるだけの存在だった少女。
その世界が終わり、見つけた光とのあまりに早い別れ。
同情の余地はあるのかもしれない。
そして、少女の存在はただ己を罰し続けることを望んだ男にとっても――。
「お前がそこまで言うならわしは認めよう。ただし、戸愚呂が駄目だと言ったら戻ってこい。早く行かんと戸愚呂に追い付けんぞ。戸愚呂に会えなかった場合も戻ってくるのだ」
「はーい!ありがとう!」
少女はこれから地獄へ向かうとは思えない笑顔を浮かべる。
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幻海と別れた直後、背後から自分を呼ぶ能天気な声にさすがの戸愚呂も耳を疑った。
「左京さんが会場を爆破したんです。その崩落でわたしも死んじゃいました」
死んだというのに少女は常と変わらぬ笑みを向けてくる。
いや、非力な彼女は武術会の途中で誰かの妖気にあてられ死んでも不思議ではなかった。
戸愚呂に会う前だって、いつ殺されてもおかしくない状況だったのだ。
だからだろうか、彼女は自分の死をあっさりと受け入れてる。
しかし、へらへらとしていた少女は急に表情を引き締めた。
「わたしも、戸愚呂さまと同じ所に行きたいです」
「お前はオレのように罪を犯したわけではないだろう」
「コエンマ、さん……には許可をもらいました。戸愚呂さまが認めてくれたら良いと」
最後の最後にとんでもない土産を寄越したものだと戸愚呂は驚愕する。
少女の今後を決定する資格など自分にはないが、どう考えてもこの地獄は不釣り合いだ。
何故コエンマはあえてここまで連れてきたのか。
「わたしは、これからも戸愚呂さまの背中を追いかけたいんです」
見上げる少女の瞳に息を呑んだ。
共に戦った幻海や浦飯幽助のような強さを感じさせる意志の宿った目。
ただの弱いだけの存在だと思っていたのに。
「……呆れるほどの物好きだな」
思えば、初めて会った時からそうだった。
下級妖怪なら震え上がるはずの戸愚呂に嬉しそうについてきた。
元より死を恐れていないのだとしても、好んで自分と関わろうとは。
背を向け迷いなく歩き出す戸愚呂に、少女は今までで一番の笑顔でついていく。
二人の行く先は地獄。待つのは苦痛。そして、最後は無に帰るのみ。
それでも、二人の胸には一筋の光が宿っていた。
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