泡となりて消ゆ
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「あら……?」
ナマエが廊下を歩いていると、縁側で眠る同田貫を見かけた。
今日は陽射しがあたたかい。昼寝をしたら、たしかに気持ち良さそうだ。
しかし、こんな所でずっと寝ていては風邪をひいてしまうかもしれない。
現在の同田貫たちは、ほぼ人間と同じ体のつくりをしている。
もちろん、通常の人にはない霊力を宿し、身体能力も高いが、疲れるし、怪我もする。
それなら、病気にだってかかる可能性がある。
起こすのは忍びないが、風邪をひくよりは良いだろうと同田貫に歩み寄る。
「ふふ」
顔が見える距離まで近づいて、ナマエは思わず笑みをこぼした。
本当に気持ち良さそうに寝ている。
鋭い金の瞳は閉じられ、いつも釣り上がり気味の眉も下がっているためか、普段よりあどけなく見えた。
本人に知られたら絶対に怒られるだろうと思いながらも、ナマエはかわいいという感想を抱く。
もちろん、起きているときの精悍な顔つきも好きだが、寝顔を見るのははじめてで、新鮮だった。
思わぬ幸せである。
いつまでも見ていたいが、そんなわけにもいかない。
当初の目的を思い出して、同田貫に声をかける。
「同田貫さま。……同田貫さま、風邪をひいてしまいますよ」
しかし、彼は一向に起きる気配がない。
これ以上無理に起こすのも気が引けたので、掛け布団を持ってくることにした。
**********
「きゃあっ!?」
同田貫に布団をかけようとしたところで、腕を掴まれて彼の元へと倒れ込む。
「どっ、どうだぬき、さま……?」
おずおずと彼の名を呼ぶが返事はない。スヤスヤと規則正しい寝息が聞こえるだけだった。
「……同田貫さま!」
念のためもう一度呼んでみても、やはり返事はない。
はじめはからかわれているのかと思ったが、彼はこの手の冗談を好まないだろう。
腕をひっぱられたのはともかく、なかなかの勢いで倒れたと思うのだが、それでも起きないとは。
「どうしましょう……」
ナマエの腰にはしっかりと同田貫の腕が回されていた。
脱け出せないかともがいてみるが、女の力で振りほどけるわけもない。
「はぁ……。早く起きてくださいませ……」
今の状況は、心臓に悪すぎる。
一方的な想い人の腕の中にいるのだから。
これは、同田貫の意思による行動ではないとわかっているのに。
こんなにも胸が高鳴ってしまう。
触れている部分が熱くて、どうにかなってしまいそうだ。
何も知らない同田貫に申し訳ないと思いながらも、この瞬間に浸っていたい。
こんな気持ちで彼に接するなど、いけないことだとわかっているのに。
「今だけ……今だけ、お許しくださいますか……――?」
付喪神である同田貫。
いくら今、人の姿をしていようと、こうして体温を感じようと、それは仮の姿なのだ。
彼は神様なのだ。人間が恋をするなど間違っているのだろう。
もし彼がただの人間であったなら、想いを伝えることができたのだろうか。
だが、もしそうであったなら、彼とは出会うことすらなかったのかもしれない。
ナマエが審神者で、彼が付喪神であったからこそ、今がある。
だから、決して伝えることはできない。
許されるわけがない。
それをわかっているから、この瞬間は、見逃して欲しい。
「お慕いしております、同田貫さま……」
ナマエが廊下を歩いていると、縁側で眠る同田貫を見かけた。
今日は陽射しがあたたかい。昼寝をしたら、たしかに気持ち良さそうだ。
しかし、こんな所でずっと寝ていては風邪をひいてしまうかもしれない。
現在の同田貫たちは、ほぼ人間と同じ体のつくりをしている。
もちろん、通常の人にはない霊力を宿し、身体能力も高いが、疲れるし、怪我もする。
それなら、病気にだってかかる可能性がある。
起こすのは忍びないが、風邪をひくよりは良いだろうと同田貫に歩み寄る。
「ふふ」
顔が見える距離まで近づいて、ナマエは思わず笑みをこぼした。
本当に気持ち良さそうに寝ている。
鋭い金の瞳は閉じられ、いつも釣り上がり気味の眉も下がっているためか、普段よりあどけなく見えた。
本人に知られたら絶対に怒られるだろうと思いながらも、ナマエはかわいいという感想を抱く。
もちろん、起きているときの精悍な顔つきも好きだが、寝顔を見るのははじめてで、新鮮だった。
思わぬ幸せである。
いつまでも見ていたいが、そんなわけにもいかない。
当初の目的を思い出して、同田貫に声をかける。
「同田貫さま。……同田貫さま、風邪をひいてしまいますよ」
しかし、彼は一向に起きる気配がない。
これ以上無理に起こすのも気が引けたので、掛け布団を持ってくることにした。
**********
「きゃあっ!?」
同田貫に布団をかけようとしたところで、腕を掴まれて彼の元へと倒れ込む。
「どっ、どうだぬき、さま……?」
おずおずと彼の名を呼ぶが返事はない。スヤスヤと規則正しい寝息が聞こえるだけだった。
「……同田貫さま!」
念のためもう一度呼んでみても、やはり返事はない。
はじめはからかわれているのかと思ったが、彼はこの手の冗談を好まないだろう。
腕をひっぱられたのはともかく、なかなかの勢いで倒れたと思うのだが、それでも起きないとは。
「どうしましょう……」
ナマエの腰にはしっかりと同田貫の腕が回されていた。
脱け出せないかともがいてみるが、女の力で振りほどけるわけもない。
「はぁ……。早く起きてくださいませ……」
今の状況は、心臓に悪すぎる。
一方的な想い人の腕の中にいるのだから。
これは、同田貫の意思による行動ではないとわかっているのに。
こんなにも胸が高鳴ってしまう。
触れている部分が熱くて、どうにかなってしまいそうだ。
何も知らない同田貫に申し訳ないと思いながらも、この瞬間に浸っていたい。
こんな気持ちで彼に接するなど、いけないことだとわかっているのに。
「今だけ……今だけ、お許しくださいますか……――?」
付喪神である同田貫。
いくら今、人の姿をしていようと、こうして体温を感じようと、それは仮の姿なのだ。
彼は神様なのだ。人間が恋をするなど間違っているのだろう。
もし彼がただの人間であったなら、想いを伝えることができたのだろうか。
だが、もしそうであったなら、彼とは出会うことすらなかったのかもしれない。
ナマエが審神者で、彼が付喪神であったからこそ、今がある。
だから、決して伝えることはできない。
許されるわけがない。
それをわかっているから、この瞬間は、見逃して欲しい。
「お慕いしております、同田貫さま……」
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