炎天よりもなお熱く
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パーシヴァルとナマエは、グランたちに連れられてアウギュステのビーチへやってきた。
リゾート地として名高いがそういった場所はトラブルも多い。
まして、率先して揉めごとに首を突っ込むパーシヴァルだ。
彼と共にグラン一行は人助けに奔走し、海を満喫することなく一日が終わろうとしていた。
それぞれが部屋に戻るなか、パーシヴァルはナマエを自室に呼ぶ。
「まだ熱いから気を付けろ」
「あ、ありがとうございます」
椅子に座らされ温かいお茶まで淹れてもらい、ナマエは恐縮してしまう。
自分がやると言ったのだが、これくらい出来ると断れてしまった。
「お前も疲れただろう。付き合わせてすまなかった」
「いえ、良いんです。好きでやっていることですから」
首を振るナマエは笑っているのにどこか元気が無いように見える。
体力のない彼女が夏空の下を駆け回っていたのだから、もちろん疲れているだろう。
だが、それだけでは無いような気がした。
「調子でも悪いのか?」
「疲れはしましたけど、元気ですよ?」
昼間の海で、ナマエから不機嫌な空気を感じることがあった。
グランたちに聞いても『いつも通りじゃない?』と首を傾げられるくらいの些細なものだが。
それでも気にかかり、疲労している彼女をわざわざ部屋に呼んだのだ。そんな回答では納得できない。
パーシヴァルは向かい側の椅子に腰かけた。
せっかくの海で遊べなかったことかと考えもしたが、そんなことでへそを曲げるとも思えない。
他になにか不満があるのだろうか。
「海で気に障ることでもあったか?」
「え!? そんな風に見えましたか!?」
「いや、家臣共には気のせいだと言われたが、どうも気になってな」
「ご、ごめんなさい。嫌な気持ちにさせてしまって……」
「謝ることではない。家臣共は気付いていないし、俺も不快になったわけではない」
慌てるナマエだったが、自分の行動に問題があったわけではないと分かり安堵する。
もう話は終わりだろうと、カップに口をつける。
しかし、パーシヴァルはまだ納得していなかった。
「俺は謝罪を聞きたいのではなく、何かあったか聞いているのだが」
「別になにもないですけど……少し疲れたかなっていうくらいで……」
「ナマエ」
「……」
こうなったパーシヴァルは譲らない。
本当の心を知りたいとばかりに、真っ直ぐにナマエを見つめる。
彼女は居心地が悪そうに、手元のカップに視線を落とした。
「――……」
「……」
「……だって、みんなパーシヴァル様のこと見てました!」
とうとう観念したナマエが口を開く。
予想外の言葉に、パーシヴァルは目を丸くした。
「どういうことだ?」
「海にいる間中、ずっと女の子たちがパーシヴァル様のことを見てました。特に助けた女の子たち! みんなパーシヴァル様のこと好きになっちゃいましたよ……!」
「そんなわけないだろう」
「あります! パーシヴァル様はご自分の魅力を理解していないからそう思うだけです!」
ナマエは彼の見目の麗しさだけで言っているのではない。
人に手を差し伸べる優しさ。たとえどこにいたって、困っている人を見つけたら迷わず助けてしまう。
外見だけでなく中身もカッコイイのだ。みんなが彼を好きになってしまう。
人助けをするパーシヴァルのことは好きだ。
それが彼のやりたいことならば、喜んで手伝う。
だが、救われた女の子たちがパーシヴァルに好意の目を向けるのは面白くなかった。
モテるのは仕方ない。それだけ素敵な人だというのは理解している。
それでも、どうしても嫉妬の心は抑えられなかった。
こんな子供っぽい気持ちを抱いているのが恥ずかしくて、黙っていたのだ。
堰を切ったように話し出すナマエに、パーシヴァルはくつくつと笑う。
そんな反応をされるとは思わず、彼女は頬を赤らめて拗ねた表情をする。
開き直っているのか、ずいぶんと幼い仕草だった。
「な、なんで笑うんですかぁ!?」
「いや、悪い……」
堪えようとしても笑いは止まらない。
自分の心配が無用のものだと知り、安堵した。
なにより嫉妬する彼女があまりに可愛らしい。
「安心しろ。お前が思うようなことはない。十人十色というだろう」
人の好みはそれぞれだ。
万人が自分を好きになることはあり得ない。
助けたからといってその相手に惚れるわけではない
そんな発想をしてしまうほど、彼女には自分が魅力的に映っているのだろうか。そう捉えれば気分が良い。
「そうです、けど……」
「お前はそう言うがな、ナマエ」
まだ不満げなナマエだが、パーシヴァルにも言いたいことがあった。
立ち上がって彼女の前へ赴けば、不思議そうに自分を見上げている。
どうしてそう無防備なのか。
可愛らしさと同時に腹立たしさを覚える。
今は上着を羽織っているが、その下の水着は普段の彼女からは考えられないような露出度で。
海では惜しげもなく白い肌を晒しながら、普段通りの警戒心の薄さ。
自身へ向けられる視線には全く気付かないくせに、こちらのことばかり。
自分の魅力を理解していないのはナマエの方だ。
そんなことを告げれば、ただ見た目に興味を持った者たちと内面も知って惹かれている彼女たちでは違うと否定される。
だが、同じことだとパーシヴァルは思う。
他の異性が相手に好意を抱くのが気に入らないという独占欲。
「お前に熱い視線を送る男たちを消し炭にしてやりたいと何度考えたことか」
ナマエの柔らかな髪をひとふさ掬い、口付けを落とす。
その髪のたった一本でさえ他の男に渡す気はない。
彼女の全てを、誰にも譲る気はないのだ。
これほど激しい気持ちに、ナマエは気付いていないだろう。
今はまだ、それで良い。
ただ、この熱の心地良さを受け入れよう。
赤く染まる頬に手を滑らせると、パーシヴァルは満足げに笑った。
リゾート地として名高いがそういった場所はトラブルも多い。
まして、率先して揉めごとに首を突っ込むパーシヴァルだ。
彼と共にグラン一行は人助けに奔走し、海を満喫することなく一日が終わろうとしていた。
それぞれが部屋に戻るなか、パーシヴァルはナマエを自室に呼ぶ。
「まだ熱いから気を付けろ」
「あ、ありがとうございます」
椅子に座らされ温かいお茶まで淹れてもらい、ナマエは恐縮してしまう。
自分がやると言ったのだが、これくらい出来ると断れてしまった。
「お前も疲れただろう。付き合わせてすまなかった」
「いえ、良いんです。好きでやっていることですから」
首を振るナマエは笑っているのにどこか元気が無いように見える。
体力のない彼女が夏空の下を駆け回っていたのだから、もちろん疲れているだろう。
だが、それだけでは無いような気がした。
「調子でも悪いのか?」
「疲れはしましたけど、元気ですよ?」
昼間の海で、ナマエから不機嫌な空気を感じることがあった。
グランたちに聞いても『いつも通りじゃない?』と首を傾げられるくらいの些細なものだが。
それでも気にかかり、疲労している彼女をわざわざ部屋に呼んだのだ。そんな回答では納得できない。
パーシヴァルは向かい側の椅子に腰かけた。
せっかくの海で遊べなかったことかと考えもしたが、そんなことでへそを曲げるとも思えない。
他になにか不満があるのだろうか。
「海で気に障ることでもあったか?」
「え!? そんな風に見えましたか!?」
「いや、家臣共には気のせいだと言われたが、どうも気になってな」
「ご、ごめんなさい。嫌な気持ちにさせてしまって……」
「謝ることではない。家臣共は気付いていないし、俺も不快になったわけではない」
慌てるナマエだったが、自分の行動に問題があったわけではないと分かり安堵する。
もう話は終わりだろうと、カップに口をつける。
しかし、パーシヴァルはまだ納得していなかった。
「俺は謝罪を聞きたいのではなく、何かあったか聞いているのだが」
「別になにもないですけど……少し疲れたかなっていうくらいで……」
「ナマエ」
「……」
こうなったパーシヴァルは譲らない。
本当の心を知りたいとばかりに、真っ直ぐにナマエを見つめる。
彼女は居心地が悪そうに、手元のカップに視線を落とした。
「――……」
「……」
「……だって、みんなパーシヴァル様のこと見てました!」
とうとう観念したナマエが口を開く。
予想外の言葉に、パーシヴァルは目を丸くした。
「どういうことだ?」
「海にいる間中、ずっと女の子たちがパーシヴァル様のことを見てました。特に助けた女の子たち! みんなパーシヴァル様のこと好きになっちゃいましたよ……!」
「そんなわけないだろう」
「あります! パーシヴァル様はご自分の魅力を理解していないからそう思うだけです!」
ナマエは彼の見目の麗しさだけで言っているのではない。
人に手を差し伸べる優しさ。たとえどこにいたって、困っている人を見つけたら迷わず助けてしまう。
外見だけでなく中身もカッコイイのだ。みんなが彼を好きになってしまう。
人助けをするパーシヴァルのことは好きだ。
それが彼のやりたいことならば、喜んで手伝う。
だが、救われた女の子たちがパーシヴァルに好意の目を向けるのは面白くなかった。
モテるのは仕方ない。それだけ素敵な人だというのは理解している。
それでも、どうしても嫉妬の心は抑えられなかった。
こんな子供っぽい気持ちを抱いているのが恥ずかしくて、黙っていたのだ。
堰を切ったように話し出すナマエに、パーシヴァルはくつくつと笑う。
そんな反応をされるとは思わず、彼女は頬を赤らめて拗ねた表情をする。
開き直っているのか、ずいぶんと幼い仕草だった。
「な、なんで笑うんですかぁ!?」
「いや、悪い……」
堪えようとしても笑いは止まらない。
自分の心配が無用のものだと知り、安堵した。
なにより嫉妬する彼女があまりに可愛らしい。
「安心しろ。お前が思うようなことはない。十人十色というだろう」
人の好みはそれぞれだ。
万人が自分を好きになることはあり得ない。
助けたからといってその相手に惚れるわけではない
そんな発想をしてしまうほど、彼女には自分が魅力的に映っているのだろうか。そう捉えれば気分が良い。
「そうです、けど……」
「お前はそう言うがな、ナマエ」
まだ不満げなナマエだが、パーシヴァルにも言いたいことがあった。
立ち上がって彼女の前へ赴けば、不思議そうに自分を見上げている。
どうしてそう無防備なのか。
可愛らしさと同時に腹立たしさを覚える。
今は上着を羽織っているが、その下の水着は普段の彼女からは考えられないような露出度で。
海では惜しげもなく白い肌を晒しながら、普段通りの警戒心の薄さ。
自身へ向けられる視線には全く気付かないくせに、こちらのことばかり。
自分の魅力を理解していないのはナマエの方だ。
そんなことを告げれば、ただ見た目に興味を持った者たちと内面も知って惹かれている彼女たちでは違うと否定される。
だが、同じことだとパーシヴァルは思う。
他の異性が相手に好意を抱くのが気に入らないという独占欲。
「お前に熱い視線を送る男たちを消し炭にしてやりたいと何度考えたことか」
ナマエの柔らかな髪をひとふさ掬い、口付けを落とす。
その髪のたった一本でさえ他の男に渡す気はない。
彼女の全てを、誰にも譲る気はないのだ。
これほど激しい気持ちに、ナマエは気付いていないだろう。
今はまだ、それで良い。
ただ、この熱の心地良さを受け入れよう。
赤く染まる頬に手を滑らせると、パーシヴァルは満足げに笑った。
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