聖夜が街にやってくる
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クリスマスの街は華やかに飾り付けられ、楽しげな人々で溢れていた。
眺めているだけで、ナマエも嬉しくなってくる。
さらに今日は愛しい人とのデートの日。
想いが通じ合ってからも空を駆け回る毎日で、デートらしいデートなどしたことがなかった。
仕方ないとわかっていても、一緒に出掛けられるとなれば心が躍る。
まさかこんな日に彼から誘ってもらえるなんて思ってもいなかったから尚更だ。
張り切りすぎてかなり早く来てしまったが、待ち時間はそれだけ彼を想う時間が増えるようでそれもまた楽しかった。
「くしゅっ!」
いくら心が温かだろうと、冬の寒空は容赦なく体の熱を奪っていくらしい。
冷えた体を自分の腕で抱きしめていると、見知らぬ男が声をかけてくる。
「大丈夫? オレがあっためてあげようか」
「……結構です」
「つれないこと言わないでさぁ。キミ、一人なんでしょ?」
「いえ、人を待っていますので」
「さっきからずーっとここに立ってるの、オレ見てたんだよ? もしかして、すっぽかされたんじゃない?」
しつこく声をかけてくる男に淡々と返事をしていたナマエだが、途端にムッとなった。
彼のことを全く知らないであろう他人とはいえ、バカにされては黙っていられない。
「あの方は約束をすっぽかすような方じゃありません!」
「そうかなぁ? もう諦めて、オレと楽しいコトしようよ~」
男の手がナマエに伸びようとしたそのとき、頭上から低い声がふってきた。
「貴様。人の連れに何をしている」
「パーシヴァル様!」
不機嫌を隠さずに立っているのは、燃える焔のように赤い髪の男。
待ち人の登場に、ナマエの顔は一変して笑顔になる。
パーシヴァルもつられて表情を和らげるが、まだその場にいた男に冷たい眼差しを向けた。
睨まれずとも男はすでに戦意を喪失している。恐怖で固まった体を懸命に動かし、その場から逃げ去った。
「全く、こんなことなら待ち合わせなどしなければ良かったな」
「ごめんなさい。でも、わたしはパーシヴァル様以外の人について行ったりしないので、安心してください!」
「そんなことは心配していない」
自信満々に拳をにぎるナマエにパーシヴァルはため息をつく。
二人が身を寄せているのは同じ艇なのだから一緒に出れば済む話なのだ。
わざわざ外で待ち合わせなど、非効率以外のなんでもない。
それなのにナマエに『待ち合わせをしてみたい』と目をキラキラさせながら言われ、つい承知してしまった。
「ああいった輩はお前の意思などお構いなしだ。もう少し危機感を持て」
「分かりました!」
真剣に頷いているが、絶対分かってないだろうなと思ってしまう。
自分が常にそばにいられるわけではない。そのときに何かあったらと気が気ではない。
必要以上に彼女を案じてしまう自分に随分ほだされたものだと苦笑してしまう。
当のナマエはそんなパーシヴァルには気付きもせず能天気に笑っていた。
「今日のパーシヴァル様は一段と格好良いですね! その服、素敵です!」
彼は見慣れた鎧ではなく、漆黒の礼服に身を包んでいた。
細身の衣装がスタイルの良さを引き立てている。
いつもは上げている前髪も降ろされていて、新鮮な姿にナマエは賞賛の声をあげる。
「これくらいの身だしなみは当然だろう」
それでも褒められて悪い気はしない。
なにせこれはナマエと出掛けるために用意したのだから、こうして彼女が喜んでくれることが一番だった。
「お前も似合っているぞ」
「ほんとうですか!? えへへ、嬉しいです!」
パーシヴァルに褒められる機会の少ないナマエは感激する。
真っ白なコートに、ルリアたちと選んだ赤いスカート。
パーシヴァルのようだと惹かれた濃厚な赤は自分には派手すぎるのではないかと少し不安だったが、これにして良かった。
嬉しそうなナマエにパーシヴァルも笑みを深くする。
そのまま和やかな雰囲気に流されそうになって、彼はハッとした。
彼女にはまだ言いたいことがあった。
「おい」
「はい?」
首をかしげるナマエは紙のように白い。元々色白とはいえ度を超えている。
彼女の頬に触れると、やはり冷え切っていた。
「お前はいつからここで待っていた」
「正確な時間は覚えてないです……」
「かなり冷えているではないか。せめて店に入るなりなんなり、あるだろう」
「ご、ごめんなさい」
パーシヴァルだって約束の20分前に着くようにしていたのだが、まさかナマエの方が先に待っているとは思わなかった。
不埒な男に絡まれていただけでも腹立たしいのに、体まで冷やしているとは。頭が痛くなってくる。
彼の怒りを感じ、ナマエは申し訳なさそうに眉を下げていた。
「つい早く来てしまって……街も賑やかだしおでかけ楽しみだなあと思ったらいつの間にか時間が経ってました……」
「……お前の頭は一体どうなっているんだ」
寒さも忘れてうっとりしていて、気が付いたときにはもう遅かったらしい。
あまりのバカらしさになんと言ったものかとパーシヴァルは呆れた。
しかし、問答を続けている間もナマエはずっと寒さに晒されたままだ。
本日何度目かのため息をつくと、パーシヴァルはナマエへ腕を差し出す。
「このまま凍えられても困るからな、ナマエ」
意図を理解したナマエは顔を輝かせると飛びつくように腕を組んだ。
すりすりと気持ちよさそうに体を寄せてくる。
「パーシヴァル様ってあったかいですよね~」
「お前が冷えているだけではないのか?なんでも良いからそろそろ行くぞ」
この日を楽しみにしていたのはなにもナマエだけではない。
パーシヴァルだってこの日に期待を寄せ、廻るコースを考えたり店の予約をしたりと準備をしていたのだ。
時間は限られている。それをここで消費してしまってはもったいない。
「はい、行きましょう! パーシヴァル様!」
華やかな街の飾りに負けないくらいの笑顔を浮かべるナマエに、パーシヴァルも笑みを返す。
そのまま二人はクリスマスの街へと繰り出していった――。
眺めているだけで、ナマエも嬉しくなってくる。
さらに今日は愛しい人とのデートの日。
想いが通じ合ってからも空を駆け回る毎日で、デートらしいデートなどしたことがなかった。
仕方ないとわかっていても、一緒に出掛けられるとなれば心が躍る。
まさかこんな日に彼から誘ってもらえるなんて思ってもいなかったから尚更だ。
張り切りすぎてかなり早く来てしまったが、待ち時間はそれだけ彼を想う時間が増えるようでそれもまた楽しかった。
「くしゅっ!」
いくら心が温かだろうと、冬の寒空は容赦なく体の熱を奪っていくらしい。
冷えた体を自分の腕で抱きしめていると、見知らぬ男が声をかけてくる。
「大丈夫? オレがあっためてあげようか」
「……結構です」
「つれないこと言わないでさぁ。キミ、一人なんでしょ?」
「いえ、人を待っていますので」
「さっきからずーっとここに立ってるの、オレ見てたんだよ? もしかして、すっぽかされたんじゃない?」
しつこく声をかけてくる男に淡々と返事をしていたナマエだが、途端にムッとなった。
彼のことを全く知らないであろう他人とはいえ、バカにされては黙っていられない。
「あの方は約束をすっぽかすような方じゃありません!」
「そうかなぁ? もう諦めて、オレと楽しいコトしようよ~」
男の手がナマエに伸びようとしたそのとき、頭上から低い声がふってきた。
「貴様。人の連れに何をしている」
「パーシヴァル様!」
不機嫌を隠さずに立っているのは、燃える焔のように赤い髪の男。
待ち人の登場に、ナマエの顔は一変して笑顔になる。
パーシヴァルもつられて表情を和らげるが、まだその場にいた男に冷たい眼差しを向けた。
睨まれずとも男はすでに戦意を喪失している。恐怖で固まった体を懸命に動かし、その場から逃げ去った。
「全く、こんなことなら待ち合わせなどしなければ良かったな」
「ごめんなさい。でも、わたしはパーシヴァル様以外の人について行ったりしないので、安心してください!」
「そんなことは心配していない」
自信満々に拳をにぎるナマエにパーシヴァルはため息をつく。
二人が身を寄せているのは同じ艇なのだから一緒に出れば済む話なのだ。
わざわざ外で待ち合わせなど、非効率以外のなんでもない。
それなのにナマエに『待ち合わせをしてみたい』と目をキラキラさせながら言われ、つい承知してしまった。
「ああいった輩はお前の意思などお構いなしだ。もう少し危機感を持て」
「分かりました!」
真剣に頷いているが、絶対分かってないだろうなと思ってしまう。
自分が常にそばにいられるわけではない。そのときに何かあったらと気が気ではない。
必要以上に彼女を案じてしまう自分に随分ほだされたものだと苦笑してしまう。
当のナマエはそんなパーシヴァルには気付きもせず能天気に笑っていた。
「今日のパーシヴァル様は一段と格好良いですね! その服、素敵です!」
彼は見慣れた鎧ではなく、漆黒の礼服に身を包んでいた。
細身の衣装がスタイルの良さを引き立てている。
いつもは上げている前髪も降ろされていて、新鮮な姿にナマエは賞賛の声をあげる。
「これくらいの身だしなみは当然だろう」
それでも褒められて悪い気はしない。
なにせこれはナマエと出掛けるために用意したのだから、こうして彼女が喜んでくれることが一番だった。
「お前も似合っているぞ」
「ほんとうですか!? えへへ、嬉しいです!」
パーシヴァルに褒められる機会の少ないナマエは感激する。
真っ白なコートに、ルリアたちと選んだ赤いスカート。
パーシヴァルのようだと惹かれた濃厚な赤は自分には派手すぎるのではないかと少し不安だったが、これにして良かった。
嬉しそうなナマエにパーシヴァルも笑みを深くする。
そのまま和やかな雰囲気に流されそうになって、彼はハッとした。
彼女にはまだ言いたいことがあった。
「おい」
「はい?」
首をかしげるナマエは紙のように白い。元々色白とはいえ度を超えている。
彼女の頬に触れると、やはり冷え切っていた。
「お前はいつからここで待っていた」
「正確な時間は覚えてないです……」
「かなり冷えているではないか。せめて店に入るなりなんなり、あるだろう」
「ご、ごめんなさい」
パーシヴァルだって約束の20分前に着くようにしていたのだが、まさかナマエの方が先に待っているとは思わなかった。
不埒な男に絡まれていただけでも腹立たしいのに、体まで冷やしているとは。頭が痛くなってくる。
彼の怒りを感じ、ナマエは申し訳なさそうに眉を下げていた。
「つい早く来てしまって……街も賑やかだしおでかけ楽しみだなあと思ったらいつの間にか時間が経ってました……」
「……お前の頭は一体どうなっているんだ」
寒さも忘れてうっとりしていて、気が付いたときにはもう遅かったらしい。
あまりのバカらしさになんと言ったものかとパーシヴァルは呆れた。
しかし、問答を続けている間もナマエはずっと寒さに晒されたままだ。
本日何度目かのため息をつくと、パーシヴァルはナマエへ腕を差し出す。
「このまま凍えられても困るからな、ナマエ」
意図を理解したナマエは顔を輝かせると飛びつくように腕を組んだ。
すりすりと気持ちよさそうに体を寄せてくる。
「パーシヴァル様ってあったかいですよね~」
「お前が冷えているだけではないのか?なんでも良いからそろそろ行くぞ」
この日を楽しみにしていたのはなにもナマエだけではない。
パーシヴァルだってこの日に期待を寄せ、廻るコースを考えたり店の予約をしたりと準備をしていたのだ。
時間は限られている。それをここで消費してしまってはもったいない。
「はい、行きましょう! パーシヴァル様!」
華やかな街の飾りに負けないくらいの笑顔を浮かべるナマエに、パーシヴァルも笑みを返す。
そのまま二人はクリスマスの街へと繰り出していった――。
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