ボクの先生はヒーロー

【18 双葉より芳し】
[ボクの先生はヒーロー]



 サスケを先頭に、サクラ、イノ、チョウジはシカマルの指示した場所へ向かっていた。

 里の中心街で暴れている巨大な化け物に注目が集まっているおかげで、誰に見咎められることもない。

 けれど、敵にも味方にも気づかれるわけにはいかない。

 できるだけ迅速に、慎重に行動しなければならなかった。

 幸いなことに、下忍でも優秀な者ばかりが揃っている。

 隠密に行動するのに問題はない。

 だが、そんな彼らを発見する者たちがいた。

「おう、シカマルじゃねえかっ」

 全く無頓着に姿を現し、普段通りの大声で話し掛けてくる同期の者たちへ、シカマルは人差し指だけを立てて見せる。

 その意図を察したシノがキバの袖を引き、ヒナタも頷いてみせることで、キバも状況を察した。

 頭上の赤丸と共に、両手で口を押さえて黙る。

「お前ら、手ぇ空いてるか?」

 小声で問うシカマルへ、シノが首を縦に振る。
 
 巨大な侵略者の出現により、担当上忍である紅は部下たちを戦闘区域から離脱させたいらしい。

 まだ子供でしかなく、実戦経験も乏しい彼らに、行方不明者の捜索任務───という名目を与えて。

 しかしシノやキバ、ヒナタにしてみれば、自分たちが足手まといにもならないからだと分かっていても、やはり悔しい。

 もしかしたら、それぞれの家系を理由に生き残る見込みのない戦いを免除されているのではという疑念もある。

 ゆっくりと里を蹂躙していく巨大な敵を強く見据えるキバらに、サスケは言う。

「だったら丁度いい。手を貸してくれ」

「私たち、行方不明の人たちを助けにいくとこなの」

「見つけたのか?」

 サクラの言葉にシノが問い、いのがさも自分が気づいたかのように虚空を指し示した。

「ええ。アソコよ」

 空を見上げる仲間たちを見渡してシカマルは呟く。

「駒は揃った」
 

 
 【続く】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2006/02/10
UP DATE:2006/07/13(PC)
   2008/12/07(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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