ボクの先生はヒーロー

【16 俺たちはやる】
[ボクの先生はヒーロー]



「あれは……」

「……九尾」

 漏れ聞こえる大人たちの呟きに、子供たちは足をとめる。

 里に下り立った巨大な怪物。

 その正体に、そして大人たちから伝わる恐怖と絶望に、戸惑いが生まれた。

「ちょ、ちょっと、どーすんのよっ! あんなのにアタシたちが敵うワケないじゃないのよ」

 真っ先に叫んだいのの声はヒステリックだったが、まだ冷静さは欠いていない。

 彼女はきちんと状況を把握している。

 ただ少し幼くて、無駄に他者を焦らせる言葉を使ってしまうだけだ。

 だが、そんないのをフォローできる人物もここにいる。

「あのなあ、いの」

 シカマルは空を見上げたまま、いつもと口調を変えずに言った。

「オレたちゃ忍者だぜ。アレと真正面からやりあう必要なんかねえ」

「そうそう。ああいうのは先生たちとかに任せとけばいいんだよ」

 もしこの言葉を聞いたなら、担当上忍師たちは悲嘆にくれるだろう。
 
 けれど、彼らの判断は正しい。

 勇んでムチャをする必要などないのだ。

「そうそう。私たちにできることだけ、やっておきましょう」

「探すのがあのドベっていうのは気に入らないがな……」

 それぞれの言葉でサクラとサスケは仲間に同意し、励ます。

 そんな仲間たちを見渡してから空の1点を指し示し、シカマルは確かな口調で言った。

「まあ、アイツが出てきてくれたお陰で、探し物もみつかったぜ」



 【続く】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2006/02/05
UP DATE:2006/07/13(PC)
   2008/12/07(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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