ボクの先生はヒーロー

【13・5 異聞 〜 美青春仮面ガイトリン】
[ボクの先生はヒーロー]



───これより敵を殲滅する。

 3代目火影が一声発すると里全体が動いた。

 その時、街角で頷きあった2つの影が叫ぶ。


「「コノハマジック・メタモルフォーゼッ!」」


 閃光に包まれた2人はフォックス星人の前へ飛び出してゆく。

『誰ダッ!』

 優美なる肉体を深緑のスーツに包み、勇気のみなぎる血潮のように真紅のマントを翻して現れた者こそ正義の使者。

「フォックス星人よっ! 逆恨みによる再びの侵略行為、例え火影様が許しても、この美青春仮面ガイトリンが許さんぞっ☆」

「ガイトリン・プティットも許しませんっ!」

 同じ姿をした少年もまた、怒りに燃えていた。

「「愛ある限り戦おうっ!」いましょうっ!」

 素顔を隠した赤いマスクの向こうで2人の正義に燃える瞳が煌く。

「「この命、燃え尽きるまでっ☆」」

 突如、現れた2人のヒーローに里中がざわめいた。

「あ、あれは誰だっ!」
 
「敵かっ、それとも?」

 軽く混乱に陥る忍者たちに構わず、彼らは構えた。

「彼らへのお仕置きは我々に任せてもらおう。ガイサーベルッ!」

 その声に応えて2人の手に繊細な意匠が施された剣が現れる。

「ゆくぞ、フォックス星人っ! ガイトリーンフラーーーッシュッ!!!」

 ダイナミックなジャンプで、中空に浮かんだフォックス星人の映像へと突っ込んでいった。

 しかしそれは映像でしかなく、彼らは目標を突き抜けてそのまま町へと落ちてゆく。

「おのれっ、フォックス星人め☆ どこに消えたっ!」

 いきり立つ美青春仮面ガイトリンの背後に現れたカカシは容赦のないチョップをその脳天に叩き込んだ。

「……どこに消えた、じゃないっつの」

「へぶっ!」

 ヒーローが情けなくも沈んでいくのを尻目に、呆然とことの成り行きを見守る頭上の敵へ片手を拝むようにかざす。

「……悪いけど、仕切りなおしさせてね」

『……ソウシテクレルカ』

 そしてカカシは、自らの自称・ライバルと、彼を敬愛してやまない愛弟子を引きずって一時退散していった。
 


 【続…きません】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2006/02/07
UP DATE:2006/02/02(PC)
   2008/12/05(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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