ボクの先生はヒーロー

【10 やってくる者たち】
[ボクの先生はヒーロー]



 カカシに言われるまま火影の執務室を出、入口で待つサスケとサクラは同時に顔を上げた。

 2人の視線の先、里の外れからの道をいの、シカマル、チョウジがのんびりと歩いてくるのが見える。

 だが、何故か彼らの担当上忍であるアスマの姿はなかった。

 そのコトをいぶかしむ間もなく、サスケの姿に気付いたいのが猪突猛進という勢いで駆け寄ってくる。

「サッスケく~ぅん♡」

 いのの突進はサクラの威嚇と、サスケ自身の意思でかわしたが、それでも尚擦り寄っていった。

 毎度の光景からシカマルは視線をそらし、チョウジは我関せずといった風に歩いてくる。

「よお」

「そっちも何かあったのか?」

「まあな」

 お互いの担当上忍がいない理由を察したシカマルとサスケは情報の交換を始めた。

 流石にナルトまでもがいなくなったことに、シカマルやチョウジだけでなくいのまでも驚き、案じる表情に変わる。
 
 アカデミーからずっと同期だった今年の下忍たちはそれほど交流がないにも関わらず、存外仲がいい。

 けれど話がいのの目撃した異変に移った途端、態度は一変した。

「ああん、いの、怖かった~ん♡」

「離れーっ! いのぶたーっ!」

 再びサスケに抱きつこうとするいのへ、サクラが咆哮する。

 たぶん、もう2人の思考にはナルトの『ナ』の字もないかもしれない。

「おい、いの。遊んでねーでもっかい話せ」

「あ、そうね。あのね、サスケくん。シカマルのうちでね」

 今時の女の子然としたたどたどしい言い回しでいのが説明するには、こういうことだった。

 奈良研究所の書庫から話し声がして覗いたが誰もおらず、ただぼんやりとした光が2つあったのだという。

「光?」

「ええ、ちょうどあんなふうなっ……えっ」

 なにげなく指し示した先───彼らの上空10mぐらいの空間に、四角く青白い光があった。

「いーぃやぁあ~~~っ!!!」

「サスケくん……」

 ぎゅっと袖を掴むサクラの不安はサスケにだってよく分かる。

 だが今、自分の目の前に起こっていることは全く理解できなかった。
 


 【続く】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2005/12/15
UP DATE:2005/12/22(PC)
   2008/12/05(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
10/41ページ
スキ