nartic boyで読みたいカカイル

【LOVELACE】
〜 第5位 10代カカイル 〜
[nartic boyで読みたいカカイル]



 人間誰しも人生の花と呼ばれる時期がくるもの。
 けれど、花の命は短い。
 今が盛りと咲き誇る花も儚く散るか、手折られるか。

 そんな言葉が頭をよぎり、カカシは苦笑を漏らす。

 誰よりも華やかな人生を歩んできている、と他人に思われているらしい。
 けれど、自身としては違う見解があった。

 忍である以上は、誰も似たり寄ったりのはずだ。
 血生臭くて後ろ暗く、そして失うだけ。

 違いがあるとすれば、生き残っているかどうかぐらい。

───だいたい、忍者の人生に華やかって言葉が似合わないよねーえ

 寝そべったまま、手慰んでいた長煙管から芳しい煙を薄く含み、長く吐く。

 白い息がゆっくりと薄汚れた天井へ上り、やがて消えていった。
 
 その様を眺めるカカシの背に、独特のイントネーションの気だるげな声が落ちる。

「いつまで、そないしてるおつもりですか」

 姉が弟をたしなめるような言い方に、カカシは眉をしかめた。
 確かに歳は多少、上のはずだったけれど。

「んー。いーつまでだろーうね」

「ええ加減にしときなさいな、坊」

 まだ若いからか旦那ではなく、初めてここへ連れてこられた時のまま、坊と呼ばれている。

「坊はヤメテ」

「坊は坊ですやろ」

 何度、せめて坊はやめろと言ってもこの店の者は改めない。
 だからカカシも半ば諦めてはいたのだが、いまだに呼ばれるたびに訂正する。

「ねえ、姐さん」

「なんです」

「男の抱き方、教えてくんない?」

 そう言ったカカシの胸には、この間見かけた少年の顔が思い浮かんでいた。

 きっちりと結い上げた黒髪と強く明るい光を湛えた黒い瞳、そして鼻筋を跨いだ真一文字の傷が。



 【続く】
‡蛙女屋蛙娘。@ iscreamman‡
WRITE:2005/04/14
UP DATE:2005/04/25(PC)
   2009/10/30(mobile)
RE UP DATE:2024/08/05

→[未完]【LOVELACE


   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



タイトルはloveless(愛情のない)ではなくて、lovelace(道楽者・色魔)
…そんな変わらないか
別にloverace(恋愛ゲーム)でも、lovegame(無得点試合)でも良かったかな~
とにかくラヴコメっぽく…
盛りのついたヤリ●ン若カカシが初心な強イルカに振り回されるってカンジで
上忍17歳カカシ×新人中忍16歳イルカかなぁ…
暗部19歳カカシと下忍15才イルカってのも……

‡蛙女屋蛙娘。@ iscreamman‡
1/5ページ
スキ