君の生まれた日

【宵待】
   ~ あの秋の日 05 ~
[君の生まれた日]



 任務に行った父親。
 それと入れ替わりに、帰ってくるはずだった母親。

 あの日から、2人とも帰ってこない。

 夜になると玄関の方ばかり気になって眠れなくなっていた。

 昼間、イルカはぼんやりと過ごす。
 起きているような、寝ているような感覚で。

 そして夜は寝床に入りはするが、ただじっと玄関のほうを見つめて耳をそばだてる。

 父と母が戻るのは、いつも夜になってからだった。

 だからイルカは1人、夜を待つ。

 もう2人は帰って来ないのだと、分かるまで。



 【了】
‡蛙女屋蛙娘。@ iscreamman‡
WRITE:2005/10/10
UP DATE:2005/10/20(PC)
   2009/10/01(mobile)
RE UP DATE:2024/08/05
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