天国への段階

【ラストサマー 3 ~ 六根清浄 ~】
   ~ 夏休み 05 ~
[天国への段階]



「カクヮスィーっ!!! 勝負だーっ!」

 先ごろ、下忍たちの間で行なわれた百物語。

 その夜、初めて自分も百物語をしたと、のろけ8割情けないトコ2割で語った男がいた。

 それで、何がどうなったかは分からないが、百物語勝負。
 しかも何故か、上忍4人で。

「ふふふ。まずはこのオレからだっ☆ あるところに、足の遅いネコがいてなっ、そのネコはなんっと、恐ろしいコトにっ!」

「「「ノロイ猫って呼ばれてた」のね」んデショ?」

 3人同時にオチを言われ、ガイはうろたえた。

「なっ、なぜ、それをっ!? ええぃっ! 次はキョウフの味噌汁の話をっ」

「ああ、1人11ずつだ。次、カカシ、テメエ話せ」

「はいはい。えーっとねー、イルカせんせーから聞いた話なんだけどねー。昔ー」

 カカシの話す内容は、まあそこそこだった。
 
 しかし、アカデミーの女生徒のような間延びした口調で話されても、ちっとも恐くない。
 いや、30近い成人男性がこの口調というところに、薄ら寒さは感じはするが。

「カカシ、オメー。ちゃんとコピーしきれてねえじゃ……」

「しっ、仕方ないじゃないのっ! イルカ先生の話し方、スッゲエ恐かったんだもんっ!」

「はっはっはっ、情けないな、カカスィ」

「じゃあ、私がとびっきりの話をしてあげるわ」

 そう言ってグラスを干し、紅が妖艶に微笑む。

「あれは……、一昨日、だったかしら? 任務を終えて、一杯やってから部屋に帰ろうと思って茶通りにいったのよ」

 そこでね、見慣れた男の腕に、見たことも無い女が抱きついてたのよねえ。

「一体、あの女は、誰だったのかしら、ねえぇ……」

 そう締めくくった紅の微笑に、カカシとガイは戦慄した。

 そして、話の内容に身震いしていたアスマは、もはや失神寸前だったという。
 


 【了】
‡蛙女屋蛙娘。@ iscreamman‡
WRITE:2005/08/05
UP DATE:2005/08/31(PC)
   2009/07/23(mobile)
RE UP DATE:2024/08/05
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