天国への段階
【あと少し】
~ 夏休み 05 ~
[天国への段階]
「おぉ~~~いっ!」
火影岩付近の森から、聞き覚えのある声がした。
カカシは足をそちらへ向ける。
「イルカ先生ー?」
「ああ、カカシさん」
「どうしたんです、こんな時間に?」
訊ねると、何故か決まり悪そうに頬の傷を掻きながらイルカは話し出す。
アカデミーで教えている生徒の1人が、親とケンカをして咄嗟に家を出てしまったのを探しているのだという。
時間も時間だし、いくら里の内とはいえ、忍の里だ。
何が潜んでいるか知れたものではない。
「分かりました。お手伝いしますよ」
「居ましたっ!」
叫ぶと同時に、イルカは走り出している。
カカシもその後を追ったが、どんなに駆けても追いつけない。
───……おかしいな
イルカに追いつけないことが、ではない。
そのイルカが追う、アカデミー生に、だ。
───確か、この先は……
そこで起こるだろうことを考え、カカシは足にチャクラを込めてダッシュを掛けた。
「イルカ先生っ!」
案の定、小さな少女を抱えたイルカが、崖に身を沈めようとしている。
必死に伸ばした手が、あと少しでイルカに触れる。
その瞬間、カカシの身体が、中空で止まった。
「……え? アレ?……」
目の前に広がるのは、闇に沈む森と、崖。
見上げれば、イルカが息を切らしてカカシの腕を必死の形相で掴んでいた。
「何やってんですかっ! あと少しで……」
イルカの声に、か細く残念そうな少女の声が重なる。
───……あとすこし、だったのに……
【了】
‡蛙女屋蛙娘。@ iscreamman‡
WRITE:2005/08/04
UP DATE:2005/08/31(PC)
2009/07/23(mobile)
RE UP DATE:2024/08/05
~ 夏休み 05 ~
[天国への段階]
「おぉ~~~いっ!」
火影岩付近の森から、聞き覚えのある声がした。
カカシは足をそちらへ向ける。
「イルカ先生ー?」
「ああ、カカシさん」
「どうしたんです、こんな時間に?」
訊ねると、何故か決まり悪そうに頬の傷を掻きながらイルカは話し出す。
アカデミーで教えている生徒の1人が、親とケンカをして咄嗟に家を出てしまったのを探しているのだという。
時間も時間だし、いくら里の内とはいえ、忍の里だ。
何が潜んでいるか知れたものではない。
「分かりました。お手伝いしますよ」
「居ましたっ!」
叫ぶと同時に、イルカは走り出している。
カカシもその後を追ったが、どんなに駆けても追いつけない。
───……おかしいな
イルカに追いつけないことが、ではない。
そのイルカが追う、アカデミー生に、だ。
───確か、この先は……
そこで起こるだろうことを考え、カカシは足にチャクラを込めてダッシュを掛けた。
「イルカ先生っ!」
案の定、小さな少女を抱えたイルカが、崖に身を沈めようとしている。
必死に伸ばした手が、あと少しでイルカに触れる。
その瞬間、カカシの身体が、中空で止まった。
「……え? アレ?……」
目の前に広がるのは、闇に沈む森と、崖。
見上げれば、イルカが息を切らしてカカシの腕を必死の形相で掴んでいた。
「何やってんですかっ! あと少しで……」
イルカの声に、か細く残念そうな少女の声が重なる。
───……あとすこし、だったのに……
【了】
‡蛙女屋蛙娘。@ iscreamman‡
WRITE:2005/08/04
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