ボクの先生はヒーロー

【28 君だけのためでなく】
[ボクの先生はヒーロー]



 チョウジ、ヒナタと共にナルト救出に向かったサスケは、階層を移動する小部屋を利用してフォックス星人の飛行要塞内部を探索していた。

 各扉に施されていた電気的なカラクリはサスケの放電で短絡させ、開けることができた。
 しかし、かなり上の階層の数少ない扉を同じ要領で開けようとしたところが。

「どういうことだっ!」

 耳障りな警戒警報が鳴り響く中、サスケは厳重さを増した扉を叩く。

 雷属性のチャクラを開閉装置に流した途端、扉は開くどころか更にシャッターが降りてきた。
 おまけに警報まで鳴りだした。

「多分、トラップがあったんだと思う。6人、こっちに来てる」

「くそっ」

 ヒナタの的確な視認に、サスケは再び壁を叩いた。
 しかしチョウジは動じた様子も見せず、2人に問いかける。

「どうする? 進むの、戦うの?」

「これだけ厳重ってことは、この向こうになにかあるってことだと思う」
 
 ヒナタは自分にだけ視える状況を踏まえ、ナルトくんのチャクラもこの先に、と告げる。

 意外だが、こんな緊迫した場面でも落ち着いて対応する2人に、沸騰したサスケの頭も冷静さを取り戻す。
 そして瞬時に判断を下した。

「……行くしかないな。この壁をぶち壊してでも」

「だったら、任せてよ」

 言うや、己の体に無数のクナイを巻きつけ、チョウジは印を組む。

《肉弾・針戦車》

 重量級のチョウジが回転しながらの体当たりは厳重さを増した扉をなんとか破壊し、子供が入り込める隙間を作った。

 衝撃で舞い上がる粉塵に紛れて飛び込んだ空間に敵の姿はなく、3人は無数に並んだ透明な柱の一つに見慣れた姿を見つけた。

「ナルトくんっ!」

 微妙に発光する溶液に標本のように浮かぶナルトの口元から、途切れ途切れに気泡が上がっていく。
 どうやら、呼吸はできているようだ。
 しかし意識はなく、ヒナタの呼びかけに反応もしない。

「どいてろ。さっさとこのドベ引きずり出して、ずらかるぞ!」

 突き飛ばすようにヒナタを退かしたサスケの左腕が電光をまとい、ナルトが捕らわれた柱に突き入れられた。

《千鳥》
 

 
 【続く】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2010/02/01
UP DATE:2010/02/02(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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