ボクの先生はヒーロー

【26 君を捜して】
[ボクの先生はヒーロー]



 敵艦に乗り込んだ下忍たちはまず、持てる能力を駆使して状況を確認しつつ、次の行動を検討する。

 侵入路は3方に分かれていた。

 右はかなり先まで続いているが、シノの《蟲》に《心転身の術》で憑依したいのが確認した限り敵も行方不明者の手掛かりも見いだせない。

 中心部へ向かう正面の通路の先には大きな扉があり、ヒナタの《白眼》で大勢の人々が捕らわれている様子だ。

 左手の通路は少し先で円柱状の扉に遮られているが、キバと赤丸の鼻がナルトの臭いを感知している。

「ここで、二手に別れよう」

 サスケの提案に頷いたシカマルはすぐに修正案を出す。

「シノ、火影のジイさんに知らせてくれ。オレらだけじゃ、捕らわれてる全員を里に降ろせねえ」

「承知した」

 シノはすぐさま忍文字で状況を記したメモを《蟲》に託した。

「サスケはチョウジ、ヒナタと左。ナルトの捜索を頼む」
 
 頷くサスケの隣りでサクラといのが地団太を踏んでいるが、チョウジは気にもせず任せてよと胸を叩く。
 ヒナタも一瞬、驚いた表情を見せたが、いつになくしっかりとシカマルらを見つめて頷いた。

「頑張るから」

「キバとサクラ、オレで正面だ。捕らわれてる上忍さんらに任せられるようなら、サスケらの応援に行く」

 1人、呼ばれなかったいのが憤慨してシカマルに噛みついていく。

「ちょっと待ってよ! アタシはっ?」

「いのは、シノとバックアップだ」

 そう言われ、不承不承いのも従う。
 彼女が一番分かっているのだ。
 適性を考慮したら、こういう役回りになることを。

 その間にシノは追尾用の《蟲》をサスケらに放つ。
 彼らは潜入時の要領で左通路の扉へと消えた。

「さて、と。オレらも行くか」

 シカマルに続き、キバとサクラが正面の通路を進む。
 扉に突き当たり、キバと赤丸が臭いで探りを入れるが、敵らしき臭いは感じられなかった。

 扉の脇には電子計算機のようなボタンが並んでいる。
 どうやら、ここにパスワードを打ち込めば扉が開く仕掛けだ。

「サクラ、頼む」

「任せて」
 
 早速、シカマルとサクラが解除に掛かる。

 下忍きってのキレ者2人だ。
 幾ら文化の違う敵の暗証とはいえ、さほどの労はないだろう。



 【続く】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2009/06/15
UP DATE:2009/06/15(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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