ボクの先生はヒーロー

【22 星を航く船】
[ボクの先生はヒーロー]



 赤丸を懐に入れたキバ、シノ、サスケの順にロープを登った先で、チョウジと合流した。

 彼らは逆さまにチャクラでぶら下がり、周囲を伺う。

 フォックス星人の船は円形で、高速で回転する外周と逆方向にゆっくりと回る湾曲した内円に8本の柱が斜めに突き立っていた。

 ヒナタが《白眼》で視た換気口らしきものは見当たらない。

 そうしている間にも頭下に広がる地上では、巨大な怪物が里を蹂躙していく。

「シノ!」

「とっくに探っている。もう少し待て」

 サスケの意図に先んじて、シノは8本の柱の幾つかに《蟲》を潜入させていた。

 柱の太さは子供が通るのに問題はない。

 けれど途中で格子が行く手を遮り、更に先には熱源が存在していた。

 高エネルギーを発するそこへたどり着いた《蟲》の殆どが活動不能となる。

「やはりな……」

 戻ってきた僅かな《蟲》たちから得た情報を仲間たちに伝え、シノは自身の推測を加える。
 
「ヒナタは換気口のようなと言ったが、オレは補助推進力と見る」

「他に侵入できそうな箇所は見当たらないね」

 チョウジの言葉にキバは懐から赤丸を出し、印を結ぶ。

「だったら、作るまでだぜっ!」

「待てっ!」

 張り切って《牙通牙》を発動させようとしたキバの腕を掴んでサスケは押し止めた。

「奴らに覚られる。ソイツは脱出時にとっとけ」

「じゃあ、どーするってんだよっ!」

「騒ぐなよ、キバ。手がないワケじゃねえ」

 そう答えたのは、彼らに続いて登ってきたシカマル。

 地面を指し示し、不適に笑った。

「アイツはこっから出てきたんだぜ。オレらが入れる隙間ぐらい見つけるさ」

 ヒナタかシノが、と。


 
 【続く】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2009/02/17
UP DATE:2009/02/26(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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