ボクの先生はヒーロー

【21.5 番外 〜 おねがいマイイルティ】
[ボクの先生はヒーロー]



「イルカ先生ーっ!」

 カカシの叫びに重なって、どこからかやる気のなさげな棒読みセリフが聞こえてきた。

「聞こえる~、聞こえる~、助けを求める木ノ葉の忍びたちの叫びが~」

 不愉快な言葉に周囲を見渡す木ノ葉の忍びたち。

「己の無力さに打ちひしがれる木ノ葉の忍びたちの嘆きが~」

 その只中に飛び込んできた、青と桃色の影が一つずつ。

「だって、トラの耳は鋭いんだもん」

 随分と勝手なことを言いくさった語尾が、だもん。

 だもん!

 あきれ果てる人々の眼前に姿を現したのは真っ青な全身タイツ、猫(自称トラ)耳に尻尾。

 そして、マントをひらめかせた仮面の男。

「愛と正義の使者、とらみみ仮面参上!」

「私はお供のうさぎお姉さん仮面でぇす♡」

 とらみみ仮面なる男の前でカンペをだしていた桃色の女性が明るく名乗った。

 多くの男どもはうさぎお姉さん仮面にメロメロだが、1人、肝心なことを忘れていなかった男が叫ぶ。
 
「そんなことよりっ、イルカ先生はっ!」

「……任せておけ。とうっ」

 登場時の口上同様、まったく覇気のない掛け声とともに、とらみみ仮面は崩れた瓦礫を一蹴りで吹き飛ばす。

 うまく、瓦礫の隙間にいたのかイルカは無事だった。

「あー、びっくりした。ん? あなたは?」

「……と、とらみみ、仮面だっ」

「とらみみ仮面さんですか? ありがとうございますっ、助けてくださって」

「れ、礼には及ばん……さらばだっ」

 瞬く間に去ってゆく、とらみみ仮面とうさぎお姉さん仮面の後姿を、人々は呆然と見送るしかない。

 けれどただ1人、覆面の上忍が人知れず、唇をかみ締めていた。

「おのれっ、とらみみ仮面っ……」



 【続……きません】
‡蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
WRITE:2006/08/07
UP DATE:2006/07/13(PC)
   2008/12/07(mobile)
RE UP DATE:2024/08/10
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